第33話『心配』
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「そうかもしれないけど言っちゃダメだ、それ」
「おい待て、そこじゃないだろ」
莉奈と俺のやり取りに、暁君が口を挟む。
何だかんだで、暁君は莉奈と話すことはできてるみたいだ。何かそれだけで嬉しい気分。
「ところで、今学校はどんな感じ?」
「体育祭は予定通りっつうか、予想通り雨で中止。でもって雨があまりにも強いから、皆で教室で待機中だ。保護者はもう帰ったみたいだけどな」
「待機って…そんなに雨が強いの?」
「あぁメチャクチャ。保健室は防音がしっかりされてるみたいだから聞こえないだろうけど、廊下に出たらマジですげぇよ」
暁君が凄いって言うとは、余程の雨なのだろう。
午前中はあんなに晴れていたというのに、それでは異常気象とかそんなレベルだぞ?
廊下に出て確認したいのも山々だが、生憎身体が…。
「外に出たいって顔だね、晴登」
「はぁっ!? ち、違うし!」
「そう言う割には、随分と寂しそうな顔してる気がするけど?」
「別に気にならないし! 俺今動けないし!」
餓鬼みたいな言い訳を放つ俺。それを聞いて、2人が黙る訳がない。
いつの間にか、水を得た魚の様な表情にシフトしていた。
「“満身創痍”ってか。まるで主人公みたいだな」
「でも、こんな普通キャラが主人公じゃ映えないよ〜」
「それはそうかもな」
「すっごい皮肉られてんだけど! 俺が何をした?!」
つい、周りを考えずに叫んでしまう。図書館とかだったら追い出しを喰らうくらいだ。危ない。
でもって隣をチラッと見ると…まだ2人は起きない。…セーフだ。
「まぁ冗談は置いとこう。とりあえず、元気なら良かった」
「この調子なら、すぐにでも復活できそうね」
「心配かけたみたいでゴメンね…」
優しい笑顔に戻った2人。
そんな彼らに、俺は本心からの謝罪をする。
言ってしまえば、わざわざ保健室に来てまで看病してくれているので、内心はとても嬉しかった。
そんな俺を見て、暁君は一言、
「じゃあ教室戻るぞ、三浦」
「え、おかしくない!? 満身創痍で動けないって言ったじゃん!」
「大丈夫、背負っていってやるから・・・こいつが」
「ダサっ。さらっと私に振らないでよ。まぁそのつもりだったけど」
「そこは納得すんの!?」
再び声を荒げる俺。ダメだ、この2人と話すと、どうも口が制御できない。無念だ。
…結局、莉奈と暁君の二人の肩を借りて、俺を運ぶことになった。
ベッドから起き上がるだけに、かなりの時間と体力を費やしたのは、ここだけの話だ。
*
「これホントに雨なの? 隕石とか落ちてきてんじゃ
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