第33話『心配』
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声。そのあまりの煩さに、俺は目を開き状況を確認する。
「俺が看てるからいいんだよ。お前はさっさと教室に帰れ」
「言っとくけど、晴登との付き合いは私の方が長いの。邪魔者は引っ込んでなさいよ」
喧騒、といったところか。
俺のベッドの上を飛び交う2つの声は、どちらも聞き覚えがある。
「莉奈…暁君…どしたの?」
「「!!」」
声を掛けてみると、思いの外大きい反応をされる。
しかしそれは刹那。俺が起きたと気づいた2人は声を掛けてきた。
「晴登、身体は大丈夫? 凄い怪我だったらしいけど…」
「超痛いけど、何とかなるよ。それよりどうして二人が?」
心配にも軽く答え、そこで俺は疑問を問うた。
今俺の目の前にベッドを挟むようにして立つのは、莉奈と暁君。
異色の組み合わせであり、俺の知る限り、彼らが交流したことはないはず。今ここに2人揃って立っているのは、些か違和感があるのだ。
「簡単だ。俺がお前を看に行こうとしたら、こいつがついてきただけだ」
「あ、人聞きの悪い。ついてきたのはそっちでしょ?」
「何だと?」
「何よ」
「ちょ、ちょっとストップ…」
険悪ムードになる前に軽く制止。
揃っているにはいるけど、仲は良くないのかな? でも人見知りの暁君がここまで話すなんて、一体どこで交流を持ったのだろうか。
「あ、そうだ。部活戦争ってどうなったの? 時間的にもう終わってると思うんだけど…」
横目で時計を見ながら、俺は訊いた。
時間は部活戦争終了から2時間は経っている。これだけ時間が経っていれば、皆結果は知っているだろう。
するとその問いには、暁君が答えてくれた。
「1位は俺らだ。というか、残ってた人は指で数えられるくらいしかいないけど」
「へぇ…」
事態の展開を知り、感嘆の声を上げてしまう。
俺も部長も副部長もあんな状態だったし…暁君が生き残ったのだろうか。
「…悪いが、残ったのは俺じゃないぞ」
「え、違うの?」
「聞いただけだけど…うちは部長が残ったらしい」
俺はそれを聞き、あることを思い出す。
部活戦争でのあの時、俺が意識が途絶える瞬間、確か声が聞こえてきた。
何と言っていたかはわからなかったけど、もしかすると部長の声だったのだろうか。
そして茜原さんを倒した。こう考えると辻褄が合う。
俺は横のベッドを見てみる。
すると、そこには先程と何ら変わりない光景があった。
・・・って、今までちょっと煩かっただろうに起きなかったのか、この人達…。好都合だけども。
「この人が晴登の部活の部長さんなんだね」
「あぁ」
「……冴えない顔」
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