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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
23話 一夏VS鈴 その3 & 無人機戦 ラスト
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はIS学園の制服に身を包んでいて見慣れた姿。だからこそ一夏はそれが危険だと気づいた。この『異常』な状況に『普通』の姿でいることに違和感を覚えたからだ。
 ISも何もない姿。武器で切られたり撃たれたりしたら一瞬でミンチ確定。そんな状態でこの戦場に来るというのはどれだけ愚かなことか。

 そして一夏は人生で初めて、怒りで視界が赤く染まる。その余りの怒りに怒声が出てしまう。

「箒!? バカ野郎、何してやがる!?」

「男なら、男ならその程度の敵に勝てないでどうする!」

 箒が何を言っているのかは一夏は理解出来なかった。理解している余裕すらもない。閉ざされたピット内にいれば、観客席にいる女生徒たちよりも安全だったというのにそれが無くなった。むしろISや遮断シールドがない分、箒はそれよりも危険な状態。

 ―――くっそ、やべえ気づかれたっ!

 気がついたら全力で敵ISに突っ込んでいた。自分の技術で出せる最大速度。しかし、その速度では届かないことを一夏は理解した。

 このままでは間に合わない。

 それなら間に合わせる以外に道はない。

「鈴っ、てぇ!」

 一夏の絶叫に近い指示。

 決めるための絶好のチャンスを見極めたかったが、そんな悠長なことを行っていられる場合じゃない。即断即決。何が何でも成功させなければならない。出来る出来ないの話ではない。やるしかない以上、一夏の中に一寸の迷いはない。

「馬鹿!? 早く衝撃砲の射線から退避しなさいよ! あんたごと撃ち抜くことになるわよっ!?」

「『それが狙いなんだよっ!』」

 鈴に意図を説明している時間はない。だから一夏は鈴を信じるしかなかった。鈴なら理解してくれるだろうと。鈴ならやってくれるだろうと。

「―――っ、……そういうことねっ!」

 一夏のその考えに気づいた鈴は一夏を制止しようと一瞬迷った。この作戦は一夏の身の安全が保証されないものだったからだ。だが、制止しなかった。一夏は今、ゼロコンマを問われるタイミングで切り込んでいる。

 必然的に鈴も迷っていられない。衝撃砲を構えて、最大出力で砲撃の用意をする。

「今度は……逃がさないっ!」

 一夏の右目に映る甲龍の射線、その上に迷いなく身を投げ出す。

 背骨が悲鳴を上げるほどの衝撃。一瞬遅れてやってくる激痛。奥歯が砕けるほど噛み締めて一夏は目を見開く。
 瞬時加速に使用するエネルギーはISのシールドエネルギーからじゃなくても良く、外部からのエネルギーでもいい。究極的なことを言えば自分以外のISからの『攻撃』でもいいのだ。
 ただし、それに伴う負担は尋常なものではない。それこそ、鬼一との戦いのように意識を飛ばしかねないほどだった。

「―――……零落白夜ぁっ!!」
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