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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
23話 一夏VS鈴 その3 & 無人機戦 ラスト
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「鈴、龍砲を最大出力で発射してほしい。タイミングは俺が指示する」

 呼吸を整えながら身体を落ち着かせる。身体が力んでいることに気づいたからだ。余計な力みは物事を失敗させることになってしまう。一夏は鬼一やセシリアから何度もそう教えられていた。だからこそ、漠然とではあったが今の自分の状態を知覚することが出来た。

 それは間違いなく、織斑 一夏の成長の他ならない。

 これから自分が起こす事柄に一夏は自分の身体が震え上がるのを自覚する。それは決して武者震いのようなものではなく、自分を襲う痛みがどれだけのものか分からない不安からだ。

 しかし一夏はその震えの原因が何なのか分からなかったが。

 鈴は一夏の指示に対して意図が理解出来ないからか、疑問の表情を一夏に向ける。一夏はその表情を見ず、視線は無人機に固定されていた。

「……あのISは真っ向からの射撃も小細工も通用しないわよ?」

「別に構わないさ。アレに当てる必要なんてどこにもないんだから」

 一夏も愚かではない。鈴とは違ってもっと感覚的なものではあったが、あのISにはどのようにしても鈴の衝撃砲を直撃させることは出来ないと理解していた。
 漠然、とではあったが一夏には『零落白夜』を当てる方法が確かに『見えていた』。本人も明確に自覚しているわけではない。が、確かにそれは感じ取れた。感じたことのないその感覚に一夏は違和感を感じることもない。自然なものとして受け入れていた。

 否、既に鬼一との戦いでそれは感じていたかもしれない。

 ―――……アレに零落白夜を決めれるチャンスは多分、1回こっきりだ。2回目はない。

 葵から手を離す。右手からこぼれ落ちた葵がそのまま地面に落下していき、最後は無骨な金属音を力無く鳴らして突き刺さった。

 そして愛刀を呼び寄せる。右手に吸い付くような感覚とズシリとした重さに懐かしさすら覚えた。

 ―――……焦るな。余計な力みは失敗に繋がらせるんだ。呼吸は深く、目の前のアレに集中しろ―――。

 呼吸を繰り返していく内に自身の中にある焦燥感が薄れ、薄れていくに連れて視界から余計な情報が削ぎ落とされていく。
 背景などは全て白く染まり、一夏の視界に映るのは正体不明のISただ1機。それ以外は邪魔でしかない。

「行くぞ、鈴―――」

 両手で雪片を握り直してスラスターを点火した瞬間、その声によって一夏の視界が再び不純物に満ちることになった。

「……一夏ぁ!」

 耳障りなハウリングと共に聞こえたその声は自分の幼馴染だということに、一夏は一瞬気づかなかった。いや、気づきたくなかったという方が正確か。

 ―――……ピットが開いている……? ……箒? なんでお前が……?

 視界に映る幼馴染。その姿
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