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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十七話 STAR T SABER《星と刃》
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とに、綺麗に四段重ねで屹立していた。いかにも事後処理に手間がかからなそうだ。そしてその前には……
「…………」
「やぁ、ありがとう、エーデル」
「ん」
「シュタインさん……?」
いつものように、どこか眠たげな眼をしたまま、エーデル・シュタインが残骸の方から歩いてくる。ミカヤと話し始めてから、クレーンを動かしているような音はしなかった。
さりとて作業員がそちらに居るような様子はないし、というよりミカヤの後ろに位置する、今の試し切りで最も危険地帯だった場所にいた人間など……いや、それを言うなら、そもそもどうしてそこにいたエーデルに傷一つないのだろう?
「まさか、あれは……シュタインさんが?」
「ん?……そうだけど」
なんでもない事であるかのようにさらりと肯定したエーデルに、双子はもう一度彼の後ろの残骸を見る。ミカヤによって四つに分断された残骸が、重箱のようにきれいに積み上がっている様は、よくよく考えると奇妙を通り越して異常だ。残骸はその一つ一つが形と重量が異なる。それらが異なるということはつまり、重心も全く異なるということだ。その出鱈目に配置された重心を正確に見極めなければ、それらを一つに積み上げることなど出来はしない。いや、それ以前に、そもそもあの重量の物体をどうやってこの一瞬で積み上げたというのか。残骸一つでも優に4tは超えそうな鉄の塊である。魔力による身体強化を使ってもかなり持ち上げるには苦労するはずだ。だが、ミカヤが大切断を行って以降、大きな魔力が使われた気配は察知していない。
そして何より、残骸の周囲には土埃もほとんど上がっていないのが一番奇妙だった。あれだけの物体を持ち上げて下ろしたのだとすれば、相当な土埃が上がっているのが自然であるはず、だがその残骸の周囲からは、ほとんど土埃が上がっていない。つまり、かなり穏やかに地面に下ろされたことになる。
「一体、どうやって……」
「……ひみつ」
至極疑問であるといった風に尋ねた言葉は、一言の返しで返された、それはそうだろう。自分達はクラナの知り合いで、その付き添いだ。自分の手の内をやすやす明かすようなことは住まい。
「ふふ、これは、初見は試合までお預けかな?」
「ミカヤさん……しかし、良かったのですか?私たちがここに立ち会って……」
「いやいや、まぁ、エーデルの技は、見ただけでどうこうできるようなものじゃないからね、そもそも初見は、何が起きたのかすら分からないはずだよ」
「……ん」
ミカヤの発言に怒るどころか、自信満々といった様子でうなづいたエーデルに、双子は一種の空恐ろしさすら覚えた。
刀一本でバスを両断するミカヤと、いかなる手段によってか、その残骸を見事に積み上げて見せたエーデル。このどちらもが、予選でヴィヴィオ、クラナとぶつかる彼らのライバルなのだ。
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