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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十七話 STAR T SABER《星と刃》
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きゃーである。よりにもよってきゃーである。個人的には非常にわくわくする悲鳴だが、その悲鳴の中にはどこにも競技選手としてのりりしさが感じられない。個人的には非常にわくわくする悲鳴だが……
「あれじゃ望み薄かなぁ」
「ふむ、セルジオ、ストップだ!」
「ん?」
「やぁ〜〜〜〜〜!ぅえ?」
老人のたった一言が、鬼ごっこを止めた。人の声など耳に入らなそうな勢いでミウラを追いかけまわしていたセルジオがぴたりと動きを止めて、次の指示を待つようにミゲルの方を向く。後ろから追いかけてくるセルジオの気配が途切れたのを察したのか、ミウラもまた、動きを止めた。
「おぉ」
「さすがにコーチの言葉は届く、というわけですな」
「何、一番最初に教え込んだのだよ。でなければ、どこに行くか分からんやんちゃ坊主でな」
困った奴だ、そういったミゲルの顔はしかし、どこか楽し気に見える。
「セルジオ、来なさい」
「ん!せんせー!」
駆け寄ってくるセルジオの頭を、ミゲルはポンッと一つ撫でる。
「女の子を無暗に追いかけまわしちゃいかんぞ。そういうやつは嫌われるもんだ」
「?そーなのか?ミウラ―」
「ふぇっ!?」
ミゲルの注意に首を傾げてセルジオはミウラを見るが、当の彼女とは言えばしどろもどろといった様子で左右をきょろきょろと見ては指を絡めるを繰り返している。
「?」
「え、えっと、その。う、うん。やだ……」
「……ん!わかっタ!ごめんなさイ!」
言われた瞬間ぺこりと頭を下げるセルジオに、ミウラは一瞬戸惑ったようだったが、すぐにほっとしたように息を付く。
「とはいえお前も、いきなり逃げるというのは感心せんぞ、ミウラ」
「う、す、すみません」
しかし続いて苦言を呈したザフィーラにミウラはシュンと肩を落とした。
「そもそも試合中じゃねーんだ。なんで逃げる必要があんだよ?」
「うぅ……」
聞いておいてなんだが、ヴィータはその理由をしっかりと分かっている。
ミウラは単に、セルジオ・マルティネスが怖いのだ。
セルジオとミウラの初対面は、控えめに言って最悪だったといえる。二人が最初に出会ったのは、ミッドチルダにおけるスポーツジム、道場の合同試合の場だ。多くの道場やスポーツジムで希望選手が魔法戦技を競い合った練習試合大会のその場でミウラが三戦目に相対したのがセルジオ・マルティネスだった。
結果はミウラの惨敗。初手のセルジオの高速接近に対応しきれずに顔面に左フックを受けたミウラは、その一撃で即失神してしまったのである。
覚悟はしていたとはいえ、十代も前半の少女にとって、訳も分からず意識を奪われるというその敗北の経験は傷跡として残った。それからしばらくは練習試合も控えなければならないほどミウラは試合に対して恐怖するようになり、セ
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