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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十七話 STAR T SABER《星と刃》
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大よそどこの世界に行っても、人が人として営みを続ける以上、絶対に出てしまうものがある。例えば、ゴミだ。
どこに行っても蒼空が広がっていることからもわかるように、ミッドチルダを中心とするこの次元管理世界のごみ処理技術は非常に高いレベルでまで発展している。エネルギー変換したごみはその多くが都市用魔力を中心とするエネルギーとして利用され、管理局の財政の節制に大きく貢献している。とはいえ、ならば処理に関する問題がそれだけで解決したかと言うと、それはそうでもない。そういった技術であっても少々処理しきるのに工夫がいるゴミもまた存在するからだ。
例えばそう……車とかである。

────

ミッドチルダ郊外にある廃車処理場、油と鉄さび臭さが鼻を突くその一角の中を、およそそんな場所には不似合な三人の女性が歩いていた。うち二人は、聖王教会で働く双子の元ナンバーズ、オットーと、ディードである。彼女達は今回、ヴィヴィオ達がスパーリングなどで世話になったとある女性に予選突破の報告をするために出かけていた。その女性に、「ちょっと今から面白い事をするから見ていかないか」と言われて、此処に来たのだ。
そしてその彼女達を案内したのが、今先頭を歩く女性、ミカヤ・シェベルである。

藍色がかった深い色の黒髪を伸ばして一つ結びにした彼女は、その立場も相まってか、実年齢以上にしっかりとした人格の持ち主だ。それゆえかまとう雰囲気は常に凜、と澄んだものだが、同時に、どことなくやわらかで人懐っこい表情を浮かべることも多くあり、つかみどころが無いようで親しみやすいという、不思議な女性だ。

「そう、チームナカジマのみんな、スーパーノービス入り出来たんだ!」
「はい、おかげさまで」
共に練習した子供たちに朗報を聞いてか、ミカヤが嬉しそうに声を上げる。同じく嬉しそうに返したオットーに続いて、ディードが丁寧な口調で続けた。

「ミカヤさんには本当に、姉やヴィヴィオさんたちがお世話になりまして……」
「あぁ、そんな、気にしないで」
練習相手として対武器戦闘における戦い方を結果的にとはいえヴィヴィオ達に叩き込んでくれた恩人への感謝だったが、ミカヤは何でもないことだというようにさらりと返す。実際のところ、彼女にとっても対徒手空拳に対する良い練習になったのだ。キャリアの差はともかく、得たもの(リワード)としては等価(イーブン)と言った所だった。

「ところでミカヤさん、こんなところで一体何を?」
連れてこられた後であれだとは思いつつも、オットーが当然の疑問を口にした。まだ自分達は、何故ここに連れてこられたのか、それを全く知らないのだ。

「あぁ、実は今朝がたやっと晴嵐の砥ぎが仕上がったんでね、実戦使用前の試し切りをしようと思って」
「はぁ」
「道場ではなく、ここで、ですか?
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