第二十七話 新しい学校その六
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「想像していたよりも何か」
「女の子でしょ」
「可愛いですね」
「そうよね、もうね」
「もうっていいますと」
「これだけ可愛いとアイドルにもなれるわね」
「そうかも知れないですね」
龍馬もその可能性を否定しなかった。
「あいつ元々女の子みたいな顔でしたけれど」
「それでもよね」
「女の子になってさらにですね」
「可愛くなったわね」
「はい、確かにこれだけ可愛いと」
龍馬も実感することだった。
「悪い男が寄りそうですね」
「だからね、只でさえ悪いマスコミに気をつけないといけないし」
このことに加えてというのだ。
「悪い男もいるから」
「どっちも気をつけないといけないですね」
「そう考えるとあの娘は大変ね」
「性別が変わったことは」
「それ自体がね、けれどなってしまったことは仕方がなくて」
それにと言うのだった。
「これも運命なのかもね」
「あいつが女の子になったことは」
「どういう運命かはわからないけれど」
「そこは神様の思うこと次第ですね」
「そう、過酷で理不尽な運命かも知れないけれど」
「確かに」
優子が今言った過酷そして理不尽という言葉にだ、龍馬も頷いた。それは優子のことを思えばこそのことだった。
「そうですね」
「そうね、一人で立ち向かうにはね」
「あまりにも辛いですね」
「そうした運命だと思うわ、ただね」
「ただ、ですか」
「あの娘は一人じゃないから」
だからだというのだ。
「もっと言えばこの運命はあの娘だけのことじゃないのよ」
「俺達にも関わっている運命ですね」
「どうして私があの娘の姉に生まれたのか」
「そしてどうして俺があいつの友達なのか」
「それも運命だったと思うわ」
「そのあいつを支えることですね」
そして助ける、このことだった。
「それが俺達の運命だったんですね」
「三人のね」
「優子さんは逃げなかったですね」
「そしてあの娘を姉として助けてね」
「支える運命だったんですね」
「逃げることも出来たわ」
このことは確かだった、姉であるが優花を放り捨てて自分だけが楽になることは出来たことは確かなことだった。
このことは優子だけでなくだ、龍馬もだった。龍馬は自分から言った。
「それで俺もですね」
「龍馬君はもっと簡単に逃げられたわね」
「友達と思っていた奴の裏切りとかありますね」
「世の中にはね」
「俺もそれは出来たと思います」
「けれどそうはしなかったわね」
「俺そういうのが一番嫌いですから」
まっすぐな言葉だった、垂直の鉄よりも。
「祖父ちゃんにそうしたことはするなって言われてますし」
「だからよね」
「はい、友達は裏切るな」
「見捨てるな、よね」
「そうしたことは絶対にしたくないですから」
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