第二十七話 新しい学校その一
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第二十七話 新しい学校
優花が退所したとの連絡を受けてだった、優子は龍馬を自分の行きつけの喫茶店に呼んでそこで彼女の事情を話した。
「今日療養所を出たそうよ」
「そうですか、遂になんですね」
「ええ、女の子になってね」
そしてとだ、優子は龍馬に微笑んで話した。
「そしてよ」
「いよいよですね」
「女の子としての生活をはじめるのよ」
「暫くはあっちで暮らすんですよね」
「高校卒業まではね」
「長いですね」
「ええ、一年半位だから」
それだけの期間だからだとだ、優子も言う。
「長いわね」
「そうですよね」
「暫くというよりはね」
二人は自分達の時間の感覚から言った、学生時代そして二十代の時代の感覚だ。
「長い間ね」
「ずっとあっちにいて、ですね」
「過ごすのよ、ただ退所したから」
「はい、もう会いに行けますね」
「私達もね」
微笑んでだ、龍馬に言った。
「それが出来る様になったら」
「長崎まで行って」
「行くわよね、長崎」
龍馬にあえて問うた。
「やっぱり」
「はい、お金と時間を手に入れて」
「私もそうするわ、長崎まで新幹線か八条鉄道で行って」
そしてというのだ。
「あの娘に会いに行くわ」
「あいつ元気ですよね」
「ええ、そうよ」
実際にとだ、優子は答えた。
「とてもね」
「それは何よりです」
「元気でね」
しかもとだ、優子はさらに言った。
「明るくね」
「過ごしてるんですね」
「そうみたいよ」
「それは何よりです」
「いつも笑顔でいるらしいから」
「ずっと笑ってなかったですからね」
自分の性別が変わると知ってだ、それを受け入れるまでの間だ。優花は確かに全く笑ってはいなかった。龍馬はここでその時のことを思い出していた。
「それが変わりましたね」
「いつも笑顔でいるなんてね」
「本当によかったです」
「私もそう思うわ」
姉としてだ、優子も実際にこう思っていてそれを嬉しく思っていた。
「よかったわ」
「笑う門には福来たるですよね」
「その通りよ、やっぱりね」
「笑っていると自然と幸せに思えてきて」
「幸せも来てくれるけれどね」
「表情が暗いですと」
それだけでとだ、優子は龍馬に話した。
「気分も落ち込んで」
「不幸もね」
「来るんですね」
「幸福も不幸も不思議なものよね」
「寄ってきますからね」
「そう、その人にね」
まるで生きものの様にというのだ。
「寄ってくるのよ」
「笑顔や暗い顔に」
「自然とね、だからね」
「あいつも笑顔でいるのなら」
「それだけで幸せになるわ」
「そうなっていきますね」
「実際にあの娘療養所で凄くいい顔していたらしいわ」
同期だった岡
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