Side Story
少女怪盗と仮面の神父 31
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、ついつい「いやあ、あの怪物を殺せる人間なんて、この世界には存在してないんじゃないかなあ」と、暗殺者達を擁護したくなる。
「って、えぇええ?? 待って待って! おかしいから! 神父様が変なのは今更だから別に良いけど、どうしてそっちが、神父様を殺そうとするの?? 仲間になったんじゃなかったの??」
微妙に失礼な発言だが、本人を含めて、誰も咎めない。
混乱するミートリッテの様子を、イオーネだけが鼻で笑う。
「お前が伯爵の正式な後継者となった今、最も厄介なのがその男だからよ」
(……どっちにとっても厄介者なのか。アーレスト神父……)
呆れとも憐憫ともつかない表情でアーレストを見やるが、彼は飛んできた二本の矢を、適当な石の上にそっと並べているところだった。
当然、ミートリッテ達の暴言も厄介者発言も、まったく気にしてない。
「せっかく仔猫を檻へ入れたのに、邪魔されたら元も子もないでしょう? こいつらにできないなら……私がこの手で殺してあげる!」
ザザザッと、騎士達が現れた森の枝葉が激しく揺れ動く。
そして
「愚かな……」
(え……?)
ミートリッテを抱えるベルヘンス卿が、地を駆る暗殺者の影を見て呟く。
光瞬く短剣の尖端が、優雅に立つアーレストの心臓目がけて軌道を描き。
神父が薙いだ左腕で、あっさり弾かれた。
更に、イオーネの背後で風を裂く音。
背を反らせて避けた彼女が、襲い来た誰かに視線を向け……
驚愕で顔を歪める。
「お前、は……!」
「悪いな。これも『私』の仕事だ」
耳に心地好く響く、男性の声。
イオーネを追いかける形で現れた誰かは、虚空を斬った長剣を翻し、
「お前が見続けた悪夢をこそ。今日、この場所で終わらせてやる」
「エル…………────っ!」
地を蹴った勢いに乗り。
体勢を立て直そうとするイオーネの背中に、鋭い刃を滑らせた。
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