Side Story
少女怪盗と仮面の神父 31
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだよ!』と憤っていたのを思い出す。
あれは、火付けに対してではなく、ブルーローズを真似た義賊としての窃盗行為を指していたのか。
ハウィス達は自らが貴族でありながら、同じ貴族を標的に金品を強奪する怪盗でもあったと。
「総員ミートリッテ嬢の守備を固め直せ! 全方位からの攻撃に備えよ! 来るぞ!」
「え? わ、っ……!」
苦痛に耐えるような表情のハウィスへ茫然と視線を送っている最中。
剣を抜いたベルヘンス卿に、いきなり正面から抱え込まれた。
ほぼ同時に、半歩後ろでドカッと重たい音。
弾け飛んできた複数の小石が、ふくらはぎをピシピシと打ち付ける。
小さく鋭い痛みを何事かと振り返れば、海上では使い勝手が悪そうだと思っていた珍しい二枚刃の銀斧が、地面に深々と突き刺さっていた。
昼間に引き続き、またしても青年に命を救われたらしい。
「……ありがとうございます」
「君は時々、バカみたいにのんきだな! 礼を言ってる場合か??」
失礼な。
のんきはアーレストの専売特許だ。
「言えるうちに言っておこうかと」
「こんな場面で! 不吉な物言いは! やめてくれ!」
悲鳴に近い怒声を上げつつ。
ベルヘンス卿の右腕が、斜め横に白い光の尾を引く。
カカカ……ッと連続して軽い音が聞こえたかと思えば、細長い棒が数本、足元へ落下した。
投げ斧の次は弓矢と来たか。本物の人殺し集団だけあって、武器の種類は豊富に取り揃えているようだ。
青年の腕の中から、周りを囲む騎士達の様子を横目に覗けば。
各々構え直した剣で、飛来する危険物を相手に格闘している。
暗闇で足場も悪く、相当やりにくいのだろう。
動きに微かなためらいが混じっていて、すごく危なっかしい。
それでも彼らは一応、騎士の位を授かった武人だ。
マーシャルとイオーネの打ち合いほど熾烈ではないが、こんな真っ暗闇のどこから来るか分かったもんじゃない攻撃をことごとくかわしてる時点で、ミートリッテが手出し可能な範囲は軽く凌駕してる。
(どうする? ブルーローズを苦しめる為に私を痛めつけるのがイオーネの目的なら、私はここから逃げたほうが良いの? ……ううん、多分ダメだ。この人達は振り切れたとしても、相手方にはアーレスト神父がいる)
アーレストが相手でも、全力疾走なら、追いつかれない自信はある。
だが。
現時刻、真っ暗な森奥の草木はミートリッテにとって障害にしかならず、かと言って、それらを避けて河岸沿いを降っても、転がっている石に足裏の傷が刺激されて、とてもじゃないが全力は出せそうにない。
結局、森か河どちらへ行っても反則に近い優れた夜目を備えた怪物を撒く材料
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ