第三章 贖罪のツヴァイヘンダー
第39話 運命の対決
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に無念は晴れるかも知れない。けれどもう、この国の人々は血など望んではいないんだ」
ダタッツは後方で倒れ伏しているバルスレイと、不安げに自分を見つめるロークの方に振り返る。そして、心配いらない、と励ますように微笑み――凛々しい面持ちで、ヴィクトリアの方へと向き直るのだった。
「ダタッツ様……!」
一方。とうとう始まってしまった二人の戦いを前に、ダイアン姫は息を飲む。黒髪の騎士の凛々しい姿に、思わず頬を染めながら。
「――姫様。今、目を覚まさせてご覧に入れます」
「……!」
そんな彼女の様子を一瞥し――ヴィクトリアは迷うことなく、再び弍之断不要を放った。剛力のまま垂直に振り下ろされた一閃は、大量の瓦礫を一瞬で破片に変え――ダタッツを襲わせていく。
もはや、さっきの破散弾とは次元が違う質量であった。大砲さえ容易に凌ぐ破壊力を孕んだ瓦礫が、雨のようにダタッツに迫る。
「……」
だが、ダタッツは決して逃げない。避けようとする気配もない。ロークやバルスレイを庇うような立つ彼は、一歩も引くことなくゆっくりと盾を構えた。
「む、無理だよ帝国勇者! そんな鉄の盾で防ぎ切れるわけが――」
そして、ロークの言葉が終わる前に……一つ目の瓦礫が、ダタッツの盾に触れた。
刹那。彼の盾は瓦礫の表面を撫でるような軌道を描き――側面にたどり着いた瞬間、押しのけるような力を加えた。
すると、ダタッツを押し潰すはずだった瓦礫は川のように流れを変え、地面に激突していった。
(……!?)
(なにが……起きていますの……!?)
その光景にダイアン姫もロークも目を見張り、硬直してしまう。それが偶然による現象ではない、ということがすぐに証明されたからだ。
――同じように、彼に向かっていく瓦礫の全てが、盾で弾かれて行ったことによって。
(あれは、予備団員用の簡素な盾でしかないはず! 普通、あんな巨大な瓦礫を受け止めようとしたら盾の方が一瞬で壊れるはずなのに!)
(どんなカラクリで破散弾を凌いでるんだ、こいつは!?)
ヴィクトリアは足元から瓦礫がなくなるまで、幾度となく弐之断不要を放ってきた。その都度、瓦礫は砲弾となってダタッツに迫ったのだが――彼に命中した瓦礫は、一つもなかったのである。
――そう。瓦礫が一個もなくなり、ヴィクトリアが攻撃を止める瞬間まで。
ダタッツは、擦り傷一つ負っていなかったのだ。
「……全弾、パリィしたのか。さすがだな」
「ジブンもまだ、討たれるわけには行かなくてね」
破散弾を立て続けに撃ち続けていたヴィクトリアも、それを防ぎ続けていたダタッツも、涼しい表情のまま互いを見つめていた。
だが穏やかなのは彼らだけであり、城門周辺は戦いの余波で、甚
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