暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
それは水面に小石を放るが如く
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
彼女の真意がまるで掴めないでいる。
単純な警戒目的で懐入りさせるにしても、ここは幻想郷。
放っておいたところで害が及ばなければ問題ない、というスタンスの住民達に倣って、諏訪子達も本来なら深く関わり合いを持たない筈だった。
しかし、何故か彼女達はエミヤシロウを住まわせるという選択肢を取った。
単純な善意から来るものであれば、何も問題は発生しなかった。
だが、そこにあからさまな警戒が入れば話が変わってくる。
警戒するのはいい。だが、何故そこまでして彼を引き入れたのか?という疑問が沸いてくる。
下手をすれば爆弾と成り得る存在を、危険を冒してまで手元に置こうとする理由がまるでわからない。
故に、諏訪子の発言が何を意図してのものなのかも不明。
だが、何もしない、という選択肢は彼の中には存在しない。
元よりその程度の警告で止まるようならば、彼は英雄と呼ばれることはなかっただろう。
子供のような頑固さが幸い―――災い―――して、今に至っているようなものだ。今更この程度で揺るぐ訳もない。
楽観視はせず、むしろ情報を諏訪子から引き出す気持ちで臨む。

「随分とご執心だな。幻想郷ならば―――いや、感情を持つ存在ならばどんな行動を取っても不思議ではない。いちいち話題に出すようなことでもなかろう」

「言いたいことはわかるけど、前例がなかったからこそ注目されるってことも忘れないように。それに幻想郷に住む妖精は死という概念が存在せず、尚かつ知性が人間に劣ることもあって、それこそ羽虫と同等にしか見られていないんだよ。それこそ、人によっては蜂に芸を仕込んでいるようにしか見えないかもしれないぐらい程度には、ね」

諏訪子の意見を前に、シロウは黙り込む。
反論できないからではなく、諏訪子の語った妖精の定義について思考していたからである。
今までに出会った妖精達の姿を思い浮かべる。
幾ら頭を捻っても、どこからどう見ても人間の子供にしか見えない相手を羽虫としか見ていない、という事実を容認することはできなかった。
勿論諏訪子がシロウを嵌めようとしている可能性もあるが、そんなことをする理由も意図も不明とあれば、いちいち気にしていてはキリがないと判断するのも不思議ではない。
ここで一番重要な事実。それは――――――

「………例え誰がどう思っていようとも、ソイツにとって妖精は人間とは何ら変わらない存在だということだろう。幻想郷に住んでいるからといって、そこの常識を押しつけるのはどうかと思うが」

エミヤシロウにとって、妖精は人間と変わらない。
羽が生えていて危ない力を持っていたとしても、彼にとっては子供でしかない。
人間の子供だって、目を離せばハサミやペンを凶器にしてしまうこともある。
何も人間じゃないから危険、なんて認識はそれこそ傲慢が過ぎ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ