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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
それは水面に小石を放るが如く
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演出してくれる。
ただの好奇心で始まった小さな騒動が、少しずつ波紋を拡げている。
記者としての勘は、この波紋はまだまだ拡がっていくと告げている。
自然と口の端が釣り上がる。
まだ見ぬ世界に思いを馳せ、漆黒の翼をはためかせ、空を駆けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「―――なんて噂が最近拡がってるんだけど、知らない?」
ニヤニヤと青年に話しかけるのは、洩矢諏訪子。
対して、目を伏せ黙して語らずを貫くのは、エミヤシロウ。
わかっている癖にさもわかっていない風な態度―――どう見てもそうには見えないが―――でシロウに接するも、本人は無視を決め込むばかり。
当然と言えば当然である。
明らかにからかいのネタにしようとしている相手に、何故餌を与えなければならないのか。
単純な好奇心なら話すのも吝かではなかったかもしれない。
「だんまりか〜、まぁいいや。だけど大変だよねー、まだ完全じゃないとはいえ、その男は幻想郷で今や話題の中心となりつつある。良くも悪くも、これからの身の振り方は考えた方がいいんじゃないかなって思うわけよ」
「………そうか」
気のない返事をしつつも、思考は良く回転していた。
ちょっとしたおせっかいがこのような展開になるなんて、彼からすれば予想外のようでそうでもないという状況だった。
生前、彼が行ってきた救助活動が切っ掛けで噂が拡がり、封印指定の魔術師を狙う魔術師に足がつくなんて日常茶飯事。
半ば自業自得の部分もあるが、善意自体に嘘偽りはなかった。
しかしその中途半端な善意が悪意を呼び覚ましてしまい、這々の体で逃げ出すこともあった。
今回もそうだ。
お人好しな行動が騒動を巻き起こした。
幸いなのは、今のところそれが悪意に発展する可能性が薄いという点。
しかし絶対とは言い切れない、と判断に困る程度の差が動きを鈍らせる。
「ま、どんな行動理念を持っているかは知らないけど、これを切っ掛けにやめるようならその程度のものだったって自覚もできるし、その青年にとってはいい転機になるかもね」
何気ない会話だが、エミヤシロウを対象にしていることを前提にしているのがわかっていると、これ以上とない皮肉に聞こえてくる。
お前の信念は所詮その程度なのか、そう間接的に言われているのは言わずもがな。
同時に彼に対しての牽制も行っている。
守矢神社に住むようになってだいぶ経つが、未だに神二人とのわだかまりがなくなってはいない。
神奈子は態度に表すことはないが、警戒していない訳ではない。
現に今も、神力によって本殿から二人の会話に聞き耳を立てており、それに気付いているのは諏訪子だけ。
対して諏訪子はあからさま過ぎる態度で、エミヤシロウから情報を引き出そうとしている。
しかし、逆にあからさま過ぎて
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