暁 〜小説投稿サイト〜
ダタッツ剣風 〜悪の勇者と奴隷の姫騎士〜
第二章 追憶のアイアンソード
第25話 宿命の対決
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とする軍人を諭し、バルスレイは竜正を見遣る。
 体重移動が使えない空中からの発動でも、螺剣風は壮絶な威力を持っている。その反動に苦しむ戦友の姿を、銀髪の将軍は沈痛な面持ちで見つめていた。

 そして――王国軍がこの荒野を去って行く中で。竜正は一人、うずくまったまま震える手で、勇者の剣を握り締めた。

(……父さん……!)

 父への想いが蘇ると、それに連なるかのように――竜正の脳裏に、犯した罪の重さがのしかかっていく。
 いつしか彼は――敵対するアイラックスに、父の面影を重ねるようになっていた。

(……母さんのところへ帰ろうとするのが、そんなにいけないのか!? 父さん!)

 こちらに剣を構えるアイラックスの姿が、自分を止めようとする父のように見えた竜正は、より激しい胸の痛みを受け――表情を歪ませる。

 勇者を初投入した、この戦で――確かに竜正は勝利を飾ることに成功した。
 だがそれは、彼が生涯背負い続ける十字架が現れたことを意味している……。

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