第2話 恥辱の姫君
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―。
――その頃。夜の帳が下りが降りた、公国の城では。
玉座に腰を掛けた一人の男が、杯を手に不敵な笑みを浮かべていた。その視線の先には、反抗的な視線で自分を睨みつける、鎖で繋がれた少女の姿がある。
「なかなかやるじゃないか、この国の勇者様も。まさかバルタザールが殺られるとは思わなかったぜ、なぁクセニア公女殿下?」
「あなた達の狼藉も、ここまでということです。早く私の拘束を解き、降伏しなさい。マクシミリアン」
鎖で首を拘束されていながら、気丈な姿勢を崩さない少女を前に、男はほくそ笑むとゆっくり立ち上がった。
燃え上がる炎のような赤い髪に、口周りを覆う逞しい口髭。浅黒い肌に、分厚く鍛え上げられた肉体という名の鎧。玉座の両脇に飾られた、巨大な斧と盾。
まるで、地獄の鬼が人の姿を借りたかのような――獰猛な出で立ち。それが、マクシミリアン呼ばれる男の風貌だった。
一方、クセニアと呼ばれた少女は――金色のショートヘアと、透き通るような白い肌を持つ、絶世の美少女だった。
さらに、そのプロポーションは十七歳という若さでありながら、すでに完成された美しさに至っている。豊満に飛び出した胸から腰のくびれ、そこから扇情的な曲線で描かれた臀部。その肢体を、マクシミリアンは獲物を捕らえた獣のような眼差しで見つめていた。
最小限の布で本当に必要な所しか隠していない、踊り子の衣装のような服を着せられている彼女は、その視線を浴びても身を隠す術がない。それをわかっているからか、彼女は恥じらうこともなく堂々とマクシミリアンと向かい合い、冷ややかな眼光で彼を射抜いている。
「相変わらず強気だなァ公女殿下。勇者様によほど期待してると見える」
「グーゼルは……あなたのような外道になど、絶対に負けません。そうやって笑っていられるのも、今のうちです」
「へぇ、そいつは頼もしいな。――しかしあんたといい勇者様といい、澄ました顔してスケベなカラダしてんなァ。もっと熟れてから『味わう』つもりだったが……こりゃあ、ちと前倒しになりそうだぜ」
マクシミリアンは無遠慮にクセニアの豊かな胸に手を伸ばし、揉みしだく。さらにわざと屈辱を与えるかのように、彼女の白い頬をべろりと舐め上げた。
「く……」
「どんな気分なんだろうな? 憎い敵に、誇りも貞操も穢されるってのは」
「……好きになさい。帝国の勇者が私欲に塗れた下衆だということは、とうにわかっています。ここに捕らわれた時から、覚悟は出来ていました」
「ははは、そうかいそうかい。だがな公女殿下。帝国勇者のオレが公国勇者のグーゼルに勝てば――正しいのはオレってことになるんだぜ。力で全てを支配してきた帝国が、この世界の正義を左右しているようにな」
「なにをっ……あう!」
やがて、クセ
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