第8話 絶望を払う剣
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
た落とし穴が、ようやく効果を発揮したのだ。大猪の重量に負けた蓑があっけなく崩れ落ちていく。
その蓑に隠された穴に落ちた巨体を――三人の剣士が一斉に包囲した。
「ぬぅああぁあぁッ!」
デンホルムの、渾身の力を溜め込んだ一撃が振り下ろされ。
「てぇあぁああッ!」
アダイトの矢継ぎ早の斬撃が、灰色の肉を切り刻み。
――そして。
「……はぁぁああぁあッ!」
クサンテの両手に握られた剣から放つ――鬼人の如き斬撃の嵐。その迅風の剣閃が、ドスファンゴの顔面を刻み――残された最後の角が、切り落とされた。
「ブモオォオォォオォォォオッ!」
「うっ……!?」
「まずい! みんな、下がれ!」
その直後。激昂したように暴れ出すドスファンゴの暴威に、三人は咄嗟にその場から飛び退いた。全ての角が失われ、牙をもがれたドスファンゴは――足を震わせながら、落とし穴から這い出るのだった。
「ここまで攻めても倒せないの……!?」
尋常ならざるタフさに、クサンテとデンホルムは息を飲む。だが――アダイトの表情は涼しい。
「いや……終わりだ」
まるで。次の瞬間に――ドスファンゴが倒れ伏していく未来を、予見していたかのように。
「や、やった……のか?」
「アダルバート様の……仇を……!」
ピクリとも動かなくなったドスファンゴを見下ろし、クサンテとデンホルムは信じられない、といった面持ちで互いに顔を見合わせる。
やがて、クサンテは答えを求めるようにアダイトの方を振り返り――彼の、穏やかな笑みを浮かべての頷きを見て。ようやく、確信するのだった。
戦いは――終わったのだと。
「……やったぁああ! 私、やった……やったよっ……!」
「や、やりましたな、姫様……! ぐすっ、このデンホルム・ファルガム……感激の極みでありまずッ……! これで、坊ちゃまの御霊も浮かばれましょうぞ……!」
クサンテは感情を爆発させるが如く、泣き喚きながらアダイトの胸に飛び込み――デンホルムも、両膝をついて号泣するのだった。
「アダイトもっ……無事でよかったぁあ……! 心配、したんだからぁあぁあ……!」
「ははは、おいらはそう簡単には死なないさ。それより――」
「……?」
そんな彼女達を微笑ましげに見守りつつ、アダイトは剥ぎ取り用のナイフを手に、ドスファンゴの骸に歩み寄る。そして――その肉を、ゆっくりと切り裂いて行った。
「――仇は討ったんだ。死んでしまえば、憎しみも何も無い。なら、こいつの命をおいら達に活かしてやろう。そうすればきっと、こいつも浮かばれる」
「……ぐすっ。そう、ね……」
そんな彼に同調するように、クサンテもナイフを手に骸に近づいて行く。そんな彼ら二人
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ