暁 〜小説投稿サイト〜
モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
第2話 双剣の姫騎士
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ギルドから連絡のあった方ですね! ええっと――」
「――クサンテ・ユベルブよ」
「同じく、デンホルム・ファルガムだ」
「もっもも、申し訳ありませんっ! クサンテ様にデンホルム様ですね! 少々お待ちくださいませぇっ!」

 新米なのか、この集会所の受付嬢は涙目になりながら名簿のページをめくっている。すでに眼前の二人の威圧感に飲まれているようだった。

「あっああ、ありましたありました! ええと、ドスファンゴ一頭の討伐――で、お間違えないでしょうか?」
「……ええ。間違いないわよ、それで」

 鋭い眼光をさらに細めて、そう返すクサンテにギルド嬢はさらに萎縮してしまう。だが、彼女は受付嬢の役目として、恐れながらも眼前の女ハンターに問い掛ける。

「で、でも、これは上位種のドスファンゴですよ? クサンテ様もデンホルム様も、先日上位ハンターに昇格したばかりですのに……」
「心配は無用。このハイメタシリーズは確かに下位相当のものだが、限界まで防御力を強化した一級品だ。昇格前に使用していたアロイシリーズとは比べ物にならん」
「分かったら、さっさと手続きを進めなさい。私達はドスファンゴを根絶やしにするまで、立ち止まるわけには行かないのよ」
「ね、根絶やしって……」

 可憐な顔立ちとは裏腹な、物騒な言葉を口にするクサンテに、ギルド嬢は得体の知れない恐怖を覚えていた。一体どんな経緯があれば、こんな美少女が「根絶やし」などと宣言する女ハンターになるのか、と。

「……それにしても、この村に常駐しているハンターって今ひとつ頼りにならない連中ばかりね。あんな男達しかいないの?」
「あ、あはは……。あそこの常駐さん達、いつもああやって飲み食いするばっかりなんですよ。実際、ああいう方しかおられないので、このロノム村は、余りハンターの方には期待されておられないらしく……」
「そうでしょうね。私達もここに来るまで、変な目で見られていたわ」

 下品に笑い合う格下のハンター達を一瞥し、クサンテは深くため息をつく。そして、彼らと同じ空気を吸いたくない――と言わんばかりに、早口で手続きを終わらせようとしていた。

(でも……変な話ね。こんな田舎じゃ収入も少ないはずだし、まともに働いててもあんな豪遊は出来ないはず。なのに、いつもあの調子……?)

 心の片隅に、ほんの僅かな違和感を残して。

「……まぁ、それはいいわ。とにかく、上位ハンターである以上、受注するには問題ないはずよね?」
「は、はい……」
「では、出発は明朝。それまでにこちらで討伐の用意はしておくから、よろしく頼むわね」
「か、畏まりました……」
「行くわよ、デンホルム」
「ハッ、姫様」

 狼狽するギルド嬢を尻目に、簡単な手続きだけを済ませたクサンテは踵を返すと
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