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第五十九話 惑星イオン・ファゼガスを脱出します!
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ターの言葉が、硬直の魔法を解いた。一斉に人々は息を吹き返し、ガヤガヤとにぎやかに話し出した。
「速やかに艦隊を集結させる。最高評議会議長殿。当方としても山ほど言いたいことはあるがそれは隅に置こう。その意図はお分かりだな。」
ブラウンシュヴァイク公爵が威厳を込めて最高評議会議長に話しかけた。ピエール・サン・トゥルーデとしても異論があろうはずがなかった。今回のテロは明らかに自由惑星同盟側の失態である。厳重警備のさなかに起こったテロは完全に自由惑星同盟から有利な手札を奪い去ってしまった。今回の事は誰一人帝国側が仕掛けたのだとは思わないだろう。小物ならともかく大貴族の長であるブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯が自らを生贄にする策など、しかもこのような回りくどい策などを取ることなど思わないだろうから。
「面目ない、としか言いようがありませんな。わかりました。この一身に代えても閣下らを自由惑星同盟領内から安全に出させて見せます。その代り――。」
「わかっておる。交渉の続きは回廊付近で行うこととする。その旨卿らはここから声明を発表していただきたい。」
ブラウンシュヴァイク公はそう言うと、アンスバッハらに残存艦隊の終結を指令し、かつピエール・サン・トゥルーデらにもあらためて全面協力をするように要求し、さっさと用意された部屋に引っこんでいった。リッテンハイム侯爵、ミュッケンベルガー元帥らもそれに続く。ピエール・サン・トゥルーデ側も用意された客室にぞろぞろと引っ込んでいった。張り詰めていた周囲から見ればあっけないほどの幕切れである。


しかし、それは表向きの事だけであった。


 双方ともに何事もなかったかのような冷静さで会話は終わったが、それぞれの胸のうちの憤怒はまさに沸点に達しようとしていた。とりわけリッテンハイム侯爵などは今にも自由惑星同盟の奴らを処刑せんばかりにいきり立っていたし、自由惑星同盟側も「いっそ帝国の奴らを道連れにして死んでやりましょう!!」などと思い詰めている過激派もいないではなかった。誰もかれもが今回の和平交渉が完全に失敗したと思っていたのである。
 だが、短慮を起こせば、さらに事態が悪化することを双方は知りすぎるほど知っていた。帝国側にとっては、今自由惑星同盟の最高評議会議長らを殺せば、自由惑星同盟全土が敵になり、帝国に帰ることなどおぼつかなくなる。他方、自由惑星同盟側にとっては、今帝国の重鎮を殺してしまえば、激怒した帝国側が数十万隻の大軍を時を移さず送り込んでくる可能性が高かった。そうなれば国力の疲弊した同盟側などはひとたまりもない。勝ったとしても損害が大きすぎてこの先何十年も経済などは停滞するだろう。

 要するに、激発してしまえば、デメリットばかりが立つ。そのことを双方ともに理解しているからこそ、かろうじて最後の
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