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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
圏内殺人事件
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ムは、移動中は効果が薄くなる。そのデメリットを補正できるほどのハイレベルな《隠蔽スキル》を持っているということか。
俺の脳裏に、《オートマトン》という
不穏
(
ふおん
)
な単語がチラリと横切る。
まさか、このSAOに、俺ですら知らない武器スキル系統が存在したのだろうか?そのスキル特性に、アンチクリミナルコードを無効化するようなものがあったとすれば……?
同じことを考えたのか、アスナが一瞬背中を震わせた。しかしすぐに顔を上げ、ヨルコに訊ねる。
「その人影に、見覚えはある?」
「………」
ヨルコはしばらく唇を引き結んで考えていたが、数秒後、わからないというようにかぶりを振った。それを受けて、今度は俺が、落ち着いた声で質問した。
「心当たりはないのか?カインズが誰かに狙われる理由について……」
危惧
(
きぐ
)
した通り、その途端にヨルコは眼に見えて体を硬くした。当然と言えば当然だ。友人を殺されたばかりの女性に対して、カインズはそうされるような人だったのか、と俺は訪ねたのだから。
俺には、アスナやキリトとは違い、ヨルコに対する思いやりの気持ちなどなかった。事件の真相にしか興味を示さない俺の問いは配慮に欠けるが、省略するわけにもいかない。もしカインズを恨んでいる人間に心当たりがあるなら、それは大きな手がかりになる。
しかし、ヨルコは今度も首をそっと横に振った。今のヨルコには何を訊いても無駄なようだ。
少なからぬ
落胆
(
らくたん
)
を感じながら、俺は「もういい」と愛想なく言った。
もちろん、ヨルコが知らないだけということもあり得る。だが、カインズを殺した犯人は、本物の殺人者であると同時にMMOゲームの《PK(プレイヤーキラー)》だ。そしてPKというのは、基本的には他のプレイヤーを殺すことそのものが動機であり存在理由なのだ。現在、アインクラッドの闇を
跋扈
(
ばっこ
)
している
犯罪者
(
オレンジ
)
プレイヤ−、
殺人
(
レッド
)
プレイヤーどもはその
典型
(
てんけい
)
だろう。
つまり、カインズを謎の手段で圏内PKしたプレイヤーの候補者は、数百人いると言われる
犯罪者
(
オレンジ
)
および
殺人
(
レッド
)
、加えて潜在的にその傾向がある者達にまで広がってしまったわけだ。
正直、どうやって1人を特定すればいいのか今は見当もつかない。
再び同時にその結論へと辿り着いたらしく、キリトが力なく息を吐いた。
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