暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
圏内殺人事件
[8/10]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
「見せしめのつもりかしら……」
アスナが同じく首を傾げて言った。
「いや、でも、それ以前に」
大きく息を吸い込み、キリトは明瞭な声で告げた。
「ウィナー表示がどこにもなかった。そ広場に詰め掛けてた数十人が誰も見つけられなかった。ディエルなら、必ず近くに出現するはずだろ」
「でも……あり得ないわ!」
アスナの鋭い
反駁
(
はんばく
)
。
「《圏内》でHPにダメージを与えるには、ディエルを申し込んで、承諾されるしかない。それが誰もが知ってる常識よ!」
「……それとも、《奴ら》の
仕業
(
しわざ
)
か……」
「ん……何か言ったか?」
俺の口から放たれた囁き声が、キリトの耳に少し届いた。
「何でもない」
素気なく答える。
3人は顔を見合わせたまま沈黙した。
アスナの言う通り、絶対にあり得ないことが起きたのだ。それなのに、彼らがわかっているのは1人のプレイヤーが
衆人
(
しゅうじん
)
環視
(
かんし
)
の中で死んだということだけで、誰が、いつ、どうやって、の全てが見当もつかない。
窓の外の広場からは、プレイヤー達のざわめきが途切れることなく届いてくる。彼らもまた、この《事件》の異質さにもう気づいているのだろう。
やがて、俺がまっすぐ2人を見て、言った。
「何にせよ、乗り掛かった船だ。このまま放置するわけにはいかないな」
「そうね。もし《圏内PK技》みたいなものを誰かが発見したのだとすれば、外だけでなく、街の中でも危険ということになるわ。速くそのトリックを突き止めて、対抗手段を得る必要があるわ」
「……俺達の間じゃ珍しいけど、今回ばかりは同意せざるを得ないな」
頷いたキリトに、わずかな苦笑を滲ませて《閃光》はズイッと右手を突き出してきた。
「なら、解決までちゃんと協力してもらうわよ。少しはネザーさんを見習ってよね」
「お、おう」
恐る恐るとした感じで、キリトも手を差し出す。
こうして、ネザー、キリト、アスナによるパーティー……ではなく《探偵トリオ》を組んだのだった。
事件の《証拠品》として、被害者が吊るされたロープと、胸を突き刺された黒い短槍を回収し、俺のアイテムストレージへ格納された。
入り口付近に立っていたプレイヤーに訊ねてみたところ、入り口を通過した者は1人もいなかったとのことだ。広場に出たキリトは、こちらを注視している
野次馬
(
やじうま
)
達に手を挙げてから、大きな声で呼びかけた。
「すまない、さっきの一件を最初から見ていた人、いたら話を聞かせてほしい!」
数秒後、おずおずという感じで、
人垣
(
ひとがき
)
から1人の女性プレイヤーが進み出てきた。顔には見覚えはない。武装もノーマルな片手剣で、恐らく中層から
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ