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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
圏内殺人事件
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だ、などと素気ない態度で跳ねつけた。
キリトの視線に気づいた俺は、一瞬キリトを横目で睨んだ。
その瞬間だった。
どこか遠くから、紛れもない恐怖の叫びが聞こえた。
「……きゃあああああ!!」
……!?
息を呑み、腰を浮かせ、腰の片手剣の柄に右手を添えた俺が、打って変わって鋭い声で囁いた。
「外だ!」
直後、椅子を蹴立てて出口へと走っていく。残りの2人も慌てて傷跡剣士の背中を追う。
表通りに出ると同時に、再び
絹
(
きぬ
)
を裂くような悲鳴が耳に届いた。
おそらく、建物を1ブロック隔てて広場からだ。俺はチラリと2人を見ると、今度こそ掛け値なしの全力ダッシュで南へ走り出した。
稲妻
(
いなづま
)
の如き
疾駆
(
しっく
)
に必死に
追随
(
ついずい
)
し、ブーツのスパイクで火花を散らしながら角を東へ曲がって、すぐ先の円形広場へと飛び込む。
そしてそこへ辿り着いた3人は、信じられないものを眼にした。
広場の北側には、教会らしき石造りの建物がそびえている。
その2階中央の飾り窓から1本のロープが垂れ、輪になった先端に、男が1人、ぶら下がってた。
NPCではない。狩りの帰りなのだろうか、分厚いフルプレート・アーマーに全身を包み、大型のヘルメットを被っている。ロープは鎧の首元にガッチリ食い込んでるが、広場に密集するプレイヤー達を恐怖に喘がせているのはそれではない。
恐怖の源は、男の胸に突き刺さってる、1本の黒い短槍だ。
男は、槍の柄を両手で掴み、口をパクパク動かしている。その間にも、胸の傷口からは、赤いエフェクトがまるで噴き出る血液ように
明滅
(
めいめつ
)
を繰り返す。
それはつまり、この瞬間も、男のHPに連続性ダメージが生じているということだ。一部の貫通系武器にのみ設定されている特性、《貫通継続ダメージ》だ。
どうやら黒い短槍は、継続ダメージに特化した武器のようだった。柄の途中に無数の
逆
(
さか
)
棘
(
とげ
)
が生えているのが見て取れる。
キリトは一瞬の驚愕から目覚めると同時に、叫んだ。
「おい!槍を速く抜け!!」
男がチラリとキリトを見た。両手をノロノロと動かし、槍を抜こうとするが、食い込んだ武器は容易に動こうとしない。死の恐怖で、手に力が入らないのか。
壁面
(
へきめん
)
にぶら下がる男のアバターは、地面から最低でも10メートルは離れている。3人の敏捷力ステータスでは、とてもジャンプして届く距離ではない。
ならば投げ針でロープを切るか。しかし、もし狙いが
逸
(
そ
)
れ、男に当たったら。それでHPがゼロになったら。
普通に考えれば、この場所は《圏内》なのだから、そんなことは起こり得ない。だがそれを言ったら、あの槍によるダメージ発生そのものがあり得ない話なのだ。
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