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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
圏内殺人事件
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スの声に抑えられ、そこそこ混み合う店内を移動する間も、いくつもの視線が集中するのを3人は感じた。そろそろ、愉快というより気疲れのほうが大きくなってくるような感じだ。これほど注目されるというのも、毎日となれば楽ではあるまい。
だがアスナと俺は、堂々たる歩調でフロアの中央を横切り、奥まった窓際のテーブルを目指した。キリトがぎこちなく引いた椅子に、アスナが滑らかな動作で腰を下ろす。
なんだが、
奢
(
おご
)
ってもらうはずがエスコートさせられているような気になりつつも、キリトと共に俺も向かいの席に座った。キリトはせめて遠慮なくご馳走になるべく、食前酒から前菜、メイン料理、デザートまでがっつり注文し、ふう、と一息いれる。
速攻で届いたフルートグラスに唇をつけてから、アスナも同じように、もホウッと長く息をついた。
俺には遠慮深いところがあり、他人の
奢
(
おご
)
りであっても注文するものが少ない。食すべきものだけを注文して、後はジッと座ってるだけだった。
不意に、アスナがわずかに険の抜けたライトブラウンの瞳で2人を見て、
可
(
か
)
聴
(
ちょう
)
域
(
いき
)
ギリギリのボリュームで
囁
(
ささや
)
く。
「ま……なんていうか、今日は……ありがとう」
「へっ!?」
驚愕したキリトをジロッと見て、もう一度言う。
「ありがとう、って言ったの。ガードしてくれて」
「あ……いや、まあ、その、どういたしまして」
日頃、攻略組の作戦会議で、ボスの弱点がああだの前衛後衛の振り分けがこうだと揉めてばかりいる相手から、思わぬ言葉を掛けられて不意にも軽く噛んでしまった。アスナは顔を下に向け、再び小声で囁いた。
「街の中は圏内だから、誰かに攻撃されたり、PKされることはないけど……眠ってる時は別だから」
「ああ。デュエルを悪用した、《睡眠PK》」
《睡眠PK》とは、眠っている相手に、どちらかのHPが0になるまで戦う《完全決着モード》を申し込み、眠っている相手の指を動かしてYESボタンを押させ、後は一方的に攻撃するというものだ。これが実際SAO内で発生したプレイヤーキラーの事例の1つである。
「こんな事件が実際に起きたし。だから、その……ありがとう」
「あ、あぁ……別にいいよ。それに、俺は俺が無理矢理やらせちゃった感じだし……」
そう言って俺ーの顔を横から眺めてみると、無表情な顔に少しも動きも見られなかった。
第1層でのビーター事件以来、キリトは、再会した俺に「俺も元ベータテスターだ」と打ち明けたが、俺は一切驚かず、「知ってた」と
呆気
(
あっけ
)
なく答えた。しかし、知ってたのならなぜ自分1人だけで悪役を演じたのか問い質したが、当の本人は何も答えてくれなかった。
一応、何度も謝罪はしたが、どうでもいい、謝罪は不要
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