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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
オレンジ&メタヴァーミン
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完全に囲まれていただろう。

新たに出現した10人の盗賊は、皆派手な格好をした男性プレイヤーだった。全身に銀のアクセサリーやサブ装備をジャラジャラとぶら下げている。男達はニヤニヤと笑いを浮かべながら、粘つくような視線を投げかけてきた。

激しい嫌悪が感じられるこの場から、一歩も後ろへ引こうとしない俺は、堂々としている。

「たったそれだけの人数で、俺に勝てると思ってんのか」

余裕かました発言を吐き、俺は頭に被っていたフードを右手で掴み、外した。

そして盗賊達の眼に映った顔を見て、賊の1人が驚きの声を上げた。

「あ、あいつは……?」

青みがかった黒__紺色の髪に、両眼には血塗られたような赤い瞳が宿っている。更に、顔の右頬に刃で切られたような2つの傷痕。

注目すべきところは格好にもあった。

先ほど被っていた襟元にフードが付いた紺色の半袖ロングコート。下半身に灰色の長ズボン、後ろ腰には片手剣を収めた鞘が装備されている。両手にはグローブ、両腕には金属プレート付きの籠手(こて)が装着されている。

不意に、先ほど驚きの声を上げた賊の1人が呟いた。笑いを消して眉をひそめ、記憶を探るように視線を彷徨(さまよ)わせる。

「その恰好……盾なしの片手剣……ネザー……!?」

急激に顔を蒼白(そうはく)しながら、男は数歩後ずさった。

「や、やばいよ、ロザリアさん。こいつ、ベータテスト参加者上がりの、こ、攻略組で……神速(スピーディー)って呼ばれてるネザーだよ!」

男の言葉を開いた残りのメンバーの顔が、一様に強張った。驚愕したのはロザリアも同じだった。

《ネザー》という名のプレイヤーは、攻略組の中でもトップクラスを誇る凄腕の剣士。難解な迷宮区をソロで踏破したことがあるという噂もあり、今ではネザーの二つ名《神速(スピーディー)》の名を知らない者はこの世界にいない。《右頬に2つの傷痕》というわかりやすい特徴もあるため、フードを被っていても正体がバレることはよくある。

下の層に住むプレイヤーにも、その名前は耳に届いている。当然ロザリア達もネザーの名は知っている。だが、目の前の剣士がよもや、最前線で未踏破の迷宮に挑み、ボスモンスターを次々と(ほふ)り続ける《攻略組》、真のトップ剣士の1人だとは夢にも思わなかった。彼らの力はSAO攻略にのみ注がれ、中層フロアに降りてくることすら滅多にないと聞いていた。

ロザリアも、たっぷり数秒間口をポカンと開けてから、我に返ったように甲高い声で喚いた。

「こ、攻略組がこんなとこをウロウロしてるわけないじゃない!どうせ、名前を(かた)ってビビらせようってコスプレ野郎に決まってる。それに、もしそいつが本当にあの《神速》のネザーだとしても、この人数でかかればたった
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