暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
オレンジ&メタヴァーミン
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した。キリトは釣られるように眼を向けると。

あれは……?

そこには、赤いY字型の角を持つ赤い鎧の戦士と、全身が緑色に蝶のモンスターが打撃戦を繰り返していた。

状況が飲み込めず、キリトは2体の戦いを凝視していた。そしてあることに気づいた。

カーソルが__ない!?

赤い戦士と虫モンスターの頭上には、カーソルが存在しなかった。

SAO世界に於けるプレイヤーやNPCはもちろん、モンスターにも必ずグリーンカーソルが存在する。大抵システムが動かすNPCは、存在座標を一定範囲に固定されており、プレイヤーの意思で移動させることはできない。更に、何らかのクエスト開始イベントでもないようだ。もしそうであるなら、クエストログウィンドウが更新されてもおかしくないはず。どちらかと言えばオブジェクトに等しい存在だ。

打撃戦の最中で蝶モンスターと離れた赤い戦士__カブトが振り返り、黒衣のロングコートに身を包む片手剣使いキリトと、ビーストテイマーのシリカが橋の向こう側に立ち竦んでいるのを見た。

カブトは不意に、しまった、と心中で叫んだ。戦いに集中していたせいで2人の気配を感じ取ることができなかった。

「キシャアアア!」

第2のバタフライも2人の存在に気づいた途端、体の向きを変えた。

標的をカブトから2人に変更したと見える。

「キシュウウウ!」

2本の足を動かし、先ほどまで戦っていたカブトのことなど忘れ、真っ直ぐキリト達のほうへと向かって走り出す。

「き、キリトさん!」

「くっ……!」

歯を食い縛ったキリトが、背中に装備した片手剣の柄を握り、迫り来る怪人に備えた。

色違いのバタフライが自分に近づいて来たところでソードスキルを打ち込み倒そうという作戦だろうが、その作戦がうまくいく可能性は低い。

そんなことも知らずにキリトは迫り来る蝶怪人に備えてソードスキルの準備を開始する。

その直後。

【Clock Up】

スピードが再びカブトの全身を駆け巡り、高速移動能力(クロックアップ)が発動された。周りの時間が完全に止まったように感じ、直前に起きようとした出来事が石の如く固まった。

俺は異なる時間の中で静止した第2のバタフライに歩いて近づく。

クロックアップは基本、超高速で移動する能力だが、見方を変えれば、現実の時間の流れから締め出されたとも言える。足を一歩前に出すだけの行為が超高速移動にもなってしまう。

バタフライに背後に到着した俺は、右手の五指(ごし)を揃え手刀を作った。

その手刀を分厚い外皮の背中へと突き込んだ。

その拍子に__。

「ギシャアアア!!」

バタフライの吠えるような悲鳴が鳴り響き、キリトとシリカはビクッと体を震わせる。2
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