暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ハンティング
[4/8]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
1人の少年と1人の少女が辿り着いた。
35層主街区《ミーシェ》は、白壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な農村の
佇
(
たたず
)
まいだった。それほど大きい街ではないが、現在は中層プレイヤーの主戦場となっていることもあって、行き交う人の数はかなり多い。
ビーストテイマー《シリカ》のホームタウンは8層にある《フリーベン》という街だが、もちろんマイルームを購入しているわけではないので、基本的にはどこの街の宿屋に泊まろうとそれほど大した違いはない。最重要ポイントは供される夕食の味なのだが、その点シリカはここの宿屋のNPCコックが作るチーズケーキがかなり気に入ったので、《迷いの森》の攻略を始めた2週間からずっと
逗留
(
とうりゅう
)
を続けている。
《ビーストテイマー》とは、システム上で規定されたクラスやスキルの名前ではなく、通称である。戦闘中、通常は好戦的なモンスターがプレイヤーに友好的な興味を示してくるというイベントがごくまれに発生する。その機を逃さず餌を与えるなどして飼い馴らしに成功すると、モンスターはプレイヤーの《使い魔》として様々な手助けをしてくれる貴重な存在となる。その幸運なプレイヤーを、賞賛とやっかみを込めてビーストテイマーと呼ぶ。
物珍しそうに周囲を見回す黒衣の少年《キリト》を引き連れて、大通りから転移門広場に入ると、早速顔見知りのプレイヤー達が声を掛けてきた。シリカがフリーになった話を速くも聞きつけ、パーティーに勧誘しようというのだ。
「あ、あの……お話はありがたいんですけど……」
受け答えが
嫌味
(
いやみ
)
にならないよう一生懸命頭を下げてそれらの話を断り、シリカは傍らに立つキリトに視線を送って、言葉を続けた。
「……しばらく、この人とパーティーを組むことになったので……」
ええー、そりゃないよ、と口々に不満の声を上げながら、シリカを取り囲む数人のプレイヤー達は、キリトに
胡散
(
うさん
)
臭そうな視線を投げかけた。
シリカはすでにキリトの腕前の
一端
(
いったん
)
を見ていたが、所在なさそうに立つ黒衣の剣士は、その外見からはとてもじゃないが強そうに思えない。
特に高級そうな防具を装備しているわけでもない。鎧の
類
(
たぐ
)
いは一切なし、シャツの上は古ぼけた黒革のロングコートだけ。背負うのはシンプルな片手剣1本だけ。そのくせ盾も持っていない。
「おい、あんた……」
最も熱心に勧誘していた背の高い両手剣使いが、キリトの前に進み出て、見下ろす格好で口を開いた。
「見ない顔だけど、抜け駆けはやめてもらいたいな。俺らはずっと前からこの子に声かけてるんだぜ」
「そう言われても……成り行きで……」
困ったような顔で、キリトは頭を
掻
(
か
)
く。
もう少し何か言い返してくれてもいいのに、とちょっとだけ不満
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ