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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ビーター
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毒づき、キリトは発動しかけた垂直斬り《バーチカル》をキャンセルしようとした。上段と読んだイルファングの刃が、クルリと半円を描いて動き、真下に回ったのだ。同じモーションから上下ランダムに発動する技、《(ゲン)(ゲツ)》。必死に右手の片手剣を引き戻したが、ガクンと不快なショックが全身を襲い、動きが止まる。

「あっ……!!」

隣でアスナが小さく叫んだ時にはもう、真下から跳ね上がってきた野太刀(のだち)が、キリトの体を正面から捉えていた。

氷のような冷たさを感じさせる、鋭い衝撃。全身が(しび)れ、HPゲージがガクッと3割以上も減る。

吹き飛ばされ、辛くも膝を突いたキリトの代わりに、アスナがコボルド王に突っ込んだ。キリトは「だめだ」と叫ぼうとした。《(ゲン)(ゲツ)》は技後硬直(ポストモーション)が短い。高く切り上げられたままの刃が、ギラッと血の色に光った。これは、ディアベルを殺したのと同じ、三連撃技、《()(オウギ)》。

「……はあああッ!!」

叫びが(とどろ)いたのは、太刀がアスナを襲う寸前だった。

アスナの頭上を(かす)めるように、片手剣が撃ち込まれる。

野太刀の初撃と、片手剣が激突した。ボス部屋全体に震えるほどのインパクトが生まれ、イルファングが大きく後方にノックバック。しかし攻撃者は、長めの革のブーツを履いた両足を踏ん張り、1メートルほど下がっただけで留まる。

割って入ったのは、同じパーティーのメンバーであるネザーだった。床に(ひざまず)いたコートのポケットを探るキリトを腰越しに見ながら、愛想のない口調で言った。

「ボスを倒す前に死なれると、こっちが迷惑なんだよ。さっさと回復して立て」

「……すまん」

キリトは短く答え、胸に込み上げようとする何かを回復ポーションで強引に飲み干した。

そして、ネザーの後方には、斧使いエギルが率いるB隊をメインに数名、傷が浅かった者達が回復を終えて復帰したのだ。

キリトはアスナに、視線で「大丈夫」と伝えてから、剣士達に向かってありったけの声で叫んだ。

「ボスを後ろまで囲むと全方位攻撃が来るぞ!技の軌道は、正面の奴が受けてくれ!無理にソードスキルで相殺しなくても、盾や武器できっちり守れば大ダメージは喰わない!」

「おう!!」

野太く響いた男達の声に、気のせいか(いら)立ちの混じるコボルド王の雄叫びが重なった。

壁近くに下がり、低級ポーションによる遅々とした回復を持つ傍ら、ネザーは後方の様子を確認した。

ボスの武器が変更されていた時点でもしやと思ったが、やはり《ルインコボルド・センチネル》の湧出(ポップ)回数も追加されていたようだった。キバオウ率いるE隊と、被害の少なかったポールアーム装備のG隊が
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