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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ボス初戦
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移した。

ディアベルのC隊が1本目のHPゲージを、D隊が2本目のゲージを削り、現在はF隊G隊がメイン火力になって3本目を半減させている。ここまで、(タンク)役のA隊B隊メンバーが何度かHPをイエローゾーンまで追い遣った程度で、赤の危険域にまで落ちたことは一度もない。取り巻きの重装兵も、E隊とオマケ3人で余裕を持って処理できたので、途中からG隊をメイン戦場の支援に回したほどだ。

ことに目覚ましいのは、細剣(レイピア)使いアスナの奮戦(ふんせん)だった。レイピアから放たれた《リニアー》は、衛兵コボルド達を追い詰め、初心者状態の頃とは大違いの強さを見せた。

まだ技は《リニアー》しか覚えていないが、この調子で今後知識を増やし、センスを磨けば、まさに鬼に金棒だと容易に想像できる。

HPが赤の危険域に落ちたコボルド王は、右手に持っていた骨斧(こつぷ)、左手に持っていた盾を同時に投げ捨てた。高らかに吠え、右手を腰の後ろに持っていく。ぼろ布が粗雑に巻かれた柄を握り、凶悪に長い湾刀(タルワール)をぞろりと引き抜く。

ベータの初期に、何度もみた攻撃パターン変更モーションだ。ここからは死ぬまで曲刀カテゴリーのソードスキルだけを使う。バーサク状態で荒ぶる様は恐ろしいが、対処そのものは今までよりやりやすい。使う技が直線長射程の(たて)()り系ばかりなので、技発動時の軌道をしっかり把握すれば、ボスに貼り付いたままでも回避可能なのだ。

ボスの無敵モーションが終了し、ちょうど戦闘が再開されるところだ。最初にタゲを取った青髪の騎士が、落ち着いた動作でボスの初撃を(さば)こうとしている。

イルファングが轟然(ごうぜん)と吠え、緩く湾曲した右手の刃を高々と……

「!?」

不意に、俺の頭の(しん)に《何か》がピリッとくる感覚が走った。

違和感。何かが違う。あのボスモンスターは、ベータテスト時のコボルド王とどこか違う。名前ではない。サイズでもない。顔でも声でもない。違和感の源は、ボス本人ではなく……右手の武器だ。

俺の位置からではほとんどシルエットしか見えないが……あの剣は細すぎる。緩く反った刃は確かにベータ時代と同じなれど、幅と輝きが違う。それは粗雑な鋳鉄(ちゅうてつ)のテスクチャではない。鍛えられ、研ぎ上げられた鋼鉄(こうてつ)の色合い。あれと良く似た武器を、俺はベータ時代に第10層で見たことがある。赤い具足に身を包んだ、ベータ時代の強敵達が持っていた曲刀。プレイヤーには扱えない、モンスター専用カテゴリーの……

「まさか……!」

喉から、引き()れたような音が漏れた。

しかし、既に時遅く、イルファングの巨体がどうっと床を揺るがせ、垂直に跳んだ。空中で体をギリリと捻り、武器に威力を溜める。落下すると
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