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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
ボス初戦
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の大部分が初体験のはずなのだ。当世界では、《初めて》がつく行為は例外なく事故の危険を内包している。

実際、三度ばかりヒヤッとする場面もあった。長槍(スピア)斧槍(ハルバード)といった長い装備者ばかりを集めたF隊、G隊が、通路の横道から近接攻撃タイプのコボルドの奇襲を受けた時などだ。 SAOでは、混戦中に武器がプレイヤーに偶発ヒットしてしまってもダメージはないが、障害物接触扱いで通常攻撃もソードスキルも停止する。長い装備は当然ながらその危険性が高いため、近接モンスターに奇襲されるのは相当にヤバい。

そんな小ピンチに、ディアベルは的確な指揮能力を見せた。部隊のリーダー1人を残して周囲の全員を大胆に下がらせ、重めのソードスキルを使わせてモンスターをノックバック、すかさず近距離武器装備のメンバーとスイッチ。

そして、ついに姿を現した巨大な2枚扉を、俺は集団の後方からややつま先立ちになって仰ぎ見た。

灰色の石材表面には、恐ろしげな獣頭人身の怪物がリレーフされている。コボルドと言えば、他のMMOでは雑魚中の雑魚モンスターだが、ことSAOに限っては亜人型というだけで侮りがたい強敵だ。なぜなら奴らは剣や斧などの武器を操り、ソードスキルをも使いこなす。

今日の戦いを生き残れば、この場にいる全員がきぅとアインクラッド中にその名を(とどろ)かすだろう。恐怖と絶望に(くじ)かれかけた数多(あまた)のプレイヤー達を、希望へと導くだろう。だがそれは、元ベータテスターという烙印(らくいん)を負った《彼ら》には果たせない。

ボス戦との決意をグッと呑み込み、俺は正面を向いた。前方では、ディアベルが7つのパーティーを綺麗に並ばせ終えたところだった。

続いてディアベルは、銀の長剣を高々と掲げると、大きく一度頷いた。他のレイドメンバーも、同じようにそれぞれの武器を(かざ)し、頷き返した。

青いロングヘアーを(なび)かせて振り向き、騎士は左手を大扉の中央に当てて……

「行くぞ!」

短く一言だけ叫び、思い切り押し開けた。





こんなに広かっただろうか。

ほぼ4ヶ月ぶりに第1層迷宮区ボス部屋を見て、俺はまずそう感じた。

奥に向かって延びる、長方形の空間。左右の幅をおよそ20メートル、扉から奥の壁までが100メートル。ボス部屋以外ほぼマッピングされているのだから、その数値的サイズは地図の空白エリアを見れば割り出せるが、それでも実際眼にすると数字は遥かに超える奥行きを感じる。

この距離が、大いにくせ者なのだ。

アインクラッドのボス部屋は、戦闘が開始されても大扉が閉まったりはしない。だから敗色(はいしょく)濃厚となった場合は全滅を待たずに逃走することは可能なのだが、ただ後ろを向いてダッシュするだけで
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