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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
第1層ボス攻略会議
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(ら)されていて、表紙下部にデカデカと【大丈夫、アルゴの攻略本だよ】という惹句(じゃっく)も書かれている。

アルゴ。このトールバーナに着いた時、ばったりと会ったアインクラッドで数少ない情報屋のパイオニアにして、俺と同じ元ベータテスター。頬にネズミのヒゲような3本線のフェイスメイクをしている風貌により、ベータテスト当時から《(ねずみ)のアルゴ》の名で通っている。

サバサバとした男性的な口調で、語尾がカタカナになるのが特徴的。あざとい性格で、売れる情報は何でも売るというスタンスだが、ガイドブックを無料配布していることを聞いた時は、さすがの俺も少々驚いた。

エギルは視線を集団に向けると、よく通るバリトンを張り上げた。

「いいか、情報は誰にでも手に入れられたんだ。なのに、たくさんのプレイヤーが死んだ。その失敗を踏まえて、俺達はどうボスに挑むべきなのか、それがこの場で論議されるべき重要なことだと、俺は思っているんだがな」

エギルの態度は至極(しごく)堂々としており、論旨もこの上なく真っ当で、それゆえにキバオウを噛み付く(すき)を見いだせなかったようだった。エギル以外の誰かが同じことを主張すれば、キバオウはおそらく「そんなことを言うお前こそ元ベータテスターだろう」と反撃したと思われるが、今は増々しげに巨漢を()め付けるだけだ。

無言で対峙(たいじ)する2人の後ろで、噴水の 縁ふちに立ったままのディアベルが頷く。

「キバオウさん、キミの言い分も理解はできるよ。俺だって右も左もわからないフィールドを、何度も死にそうになりながらここまで辿り着いたわけだからさ。でも、そこのエギルさんの言う通り、今は前を見るべき時だろ?元ベータテスターだって……いや、元ベータテスターだからこそ、その戦力はボス攻略のために必要なものなんだ。彼らを排除して、結果的に攻略が失敗したら、それこそ何の意味もないじゃないか」

さすが、ナイトを自称するだけのことはあると思わせる、こちらも実に(さわ)やかな弁舌だった。聴衆(ちょうしゅう)の中にも深く頷いてる者が何人もいる。元ベータテスター断罪すべし、という場の雰囲気がかわるのを感じて、彼も少しだけ安堵(あんど)した。

「みんな、それぞれに思うところはあるだろうけど、今だけはこの第1層を突破するための力を合わせてほしい。どうしても元ベータテスターとは一緒に戦えない、って人は、残念だけど抜けてくれてかまわないよ。ボス戦では、チームワークが何より大事だからね」

グルリと一同を見渡したディアベルは、最後にキバオウを真顔でジッと見つめた。サボテン頭の片手剣使いは、しばしその視線を受け止めていたが、フンと盛大に鼻を鳴らすと押し殺すような声で言った。

「……ええわ、ここはあんさんに従うといたる。じゃ
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