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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
第1層ボス攻略会議
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気持ち的に《ナイト》やってます!」

すると、噴水近くの一団がどっと()き、口笛や拍手に混じって「本当は《勇者》って言いてんだろ!」などという声が飛んだ。

SAOには、システム的な《(クラス)》は存在しない。格プレイヤーは、与えられた複数の《スキルスロット》に、自由な選択で各種スキルを設定し修練できる。例外として、生産系や交易(こうえき)系スキルをメインにしている者は、《鍛冶屋(かじや)》や《お針子》、《料理人》などの職名で呼ばれる場合もある。《騎士(ナイト)》や《勇者》という職は寡聞(かぶん)にして聞いたことがない。

もちろんどんな職名を名乗ろうが、それは個人の自由だ。見ればディアベルと名乗る男は胸と肩、腕と 脛すねをブロンズ系防具で覆い、左腕には大振りの直剣、背中に盾を背負っている。いわゆるナイト系装備と言えなくもない。

その堂々たる姿を、最後方から眺めながら、俺は脳裏のインデックスを素早く()った。あのディアベルという男の顔、髪の色は違うが最前の村や街で何度か見たような気がする。それ以前に、ベータテスト時代のアインクラッドではどうだったか。少なくとも名前に聞き覚えはなかった。

「さて、こうして最前線で活動してる、言わばトッププレイヤーのみんなに集まってもらった理由は、もう言わずもなだかだと思うけど……」

ディアベルが演説を再開し、俺は物思いや止め、目の前の現実に集中した。

青髪の騎士は、サッと右手を振り上げ、街並みの彼方にうっすら(そび)える巨塔……第1層迷宮区を示しながら続けた。

「……今日、俺達のパーティーは、あの塔の最上階へ続く階段を発見した。つまり、明日か、遅くとも明後日(あさって)には、ついに辿り着くってことだ。第1層の……ボス部屋に!」

どよどよ、とプレイヤーがざわめく。第1層迷宮区は20階建てで、俺がベータテスト時代に潜ったのが18階から19階に上がった辺りだった。

「ここまで1ヶ月もかかってしまったが……それでも、俺達は、示さなきゃならない。ボスを倒し、第2層に到達して、このデスゲームもいつかきっとクリアできるんだってことを、《はじまりの街》にいるみんなに伝えなきゃならない。それが、今この場所にいる俺達トッププレイヤーの義務なんだ!そうだろ、みんな!」

再びの喝采(かっさい)。今度は、ディアベルの仲間達以外にも手を叩いている者がいるようだ。確かに言っていることは立派というか非の打ち所もない。いや、非を打とうなどと考えるほうがそもそもおかしいのだろうか。

「ちょ待ってんか、ナイトはん!」

そんな声が低く流れたのは、その時だった。

歓声がピタリと止まり、前方の人垣(ひとがき)が2つに割れる。空隙(くうげき)の中央に立っているのは、小柄ながらがっちり
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