第二十六話 退所その十三
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「むしろです」
「この二人も来てくれて」
「嬉しいです」
「これまでよく頑張ったね」
岡島は優しい笑顔で優花に言った、彼もそうした顔になっていた。
「女の子になることにも訓練にも」
「どちらにも」
「うん、よくね」
頑張ったというのだ。
「そして明日からはね」
「僕は外の世界で生きるんですね」
「そうだよ、ここで頑張れたから」
だからこそともだ、岡島は優花に話した。
「これからもね」
「外の世界でも」
「生きていってね」
「じゃあ今から」
看護士も言ってきた。
「お祝いしましょう」
「四人でね、ただね」
岡島はここで苦笑いになってこんなことも言った。
「ここでで男は僕だけだね」
「あっ、そうですね」
「黒一点だね」
女性達の中に男が一人だけということだ、逆の場合は紅一点となりこちらの方がよく使われる表現だろうか。
「これは」
「男の人は岡島さんだけなので」
「そうだよ、けれどそれもいいかもね」
「それはどうしてですか?」
「周りは美人だけだからだよ」
だからだとだ、岡島は今度は明るく笑って言った。
「それでだよ」
「美人って」
「そう、君も含めてね」
優花にも言うのだった。
「美人に囲まれているからね」
「またそんな冗談を」
「冗談じゃないよ、皆奇麗だよ」
優花も副所長も看護士もというのだ。
「三人共ね」
「そう言っても何も出ないわよ」
副所長は言う岡島に笑ってこう言った。
「お給料も上がらないわよ」
「別にそれはいいですから」
「そうなの」
「はい、本音を言っただけで」
「本音でお世辞かしら」
「本当のことを言ってるだけですよ」
岡島は副所長にも笑って言う。
「それだけですよ」
「そうなの?」
「そうです」
「やれやれね、けれどね」
「今は、ですね」
「楽しくやりましょう」
岡島は今度は優花を見て言った。
「これから」
「そうね、蓮見さんの門出を祝って」
副所長も優花を見た、それは看護士もでだ。
四人で乾杯してそうして楽しく飲み食いをしてお喋りをした。優花はそうして自分の新しい門出を祝ってもらった。
そして次の日退所となったが岡島に笑顔で言われた。
「笑顔でね」
「はい、ここをですね」
「出てね」
そしてというのだ。
「笑顔のままでね」
「アパートに入ってそして」
「学校にも行くんだよ」
「いつも笑顔で、ですね」
「笑う門には福来たるというけれど」
「それは本当のことですよね」
「そうだよ、本当にね」
実際にというのだ。
「笑顔だとそれだけでね」
「幸運を招き寄せるんですね」
「だから何時でも、特にこうした時はね」
「笑顔で、ですね」
「行くんだよ」
こう優花に言うの
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ