巻ノ五十九 甲斐姫その八
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「その数はわかりませぬ」
「しかし結構な者がそうなりました」
「抜かった、して佐吉をじゃ」
吉継、彼をというのだ。
「すぐにここに呼ぶのじゃ」
「本陣にですか」
「そうせよ、よいな」
こう命じるのだった。
「どうなったかな」
「わかりました」
「それでjは」
兵達も応える、そしてだった。
大谷はすぐに本陣に戻り甲斐姫との戦のことを話した、石田はその話を聞いてすぐにく「言ったのだった。
「包絡か」
「わかったか、御主にも」
「うむ、それをを投げてじゃな」
「堤を壊しおった」
そうしたというのだ。
「包絡の火薬でな」
「考えおったな」
石田は大谷のその話を聞いて唸って言った。
「そうきたか」
「戦になり足止めを受けても包絡を使えばじゃ」
それでというのだ。
「確かに火薬の力で堤を壊せるな」
「うむ」
その通りだとだ、石田も頷いて答える。
「それならばな」
「しかも何十発もぶつければな」
「大砲の様な威力がある」
「それで堤を壊したのじゃ」
「御主との一騎打ちの間にもじゃ」
「そうしたな、しかし」
「これでじゃ」
大谷は忌々しげに言った。
「我等の水攻めは失敗した」
「そうじゃな」
「再びやるか」
「いや、もう無理じゃ」
石田は大谷のその問いにすぐに答えた。
「二度してもな」
「もう相手に読まれておるからじゃな」
「だからじゃ」
それでというのだ。
「もうせぬ方がいい」
「では別の攻め方でいくな」
「そうしようぞ、とはいってもな」
石田は大谷に難しい顔で述べた。
「水攻めをこの様な形で潰されるとな」
「他の攻め方もな」
「迂闊に出来ぬ、これはどうして攻めるか」
「少し考えるとするか」
「そうしようぞ」
こう話してだ、石田は島に命じ堤の決壊から逃れてあちこちに散った兵達を呼び戻させそのうえであらためて城を囲んだがそれ以上は攻めなかった、その話を小田原で聞いてだった。
秀吉は目を鋭くさせてだ、報を届けた者に問うた。
「甲斐姫という姫がか」
「はい、石田様大谷様の水攻めを破られました」
「そうか、佐吉には左近がついておるが」
「それでもです」
「その甲斐姫、かなりの人物じゃな」
「どうやら」
その報をする者も言った。
「そうかと」
「そうじゃな、ではな」
「それではとは」
「わしもその甲斐姫に会いたくなったわ」
にんまりと笑っての言葉だった。
「これはな」
「またそう言われますか」
秀吉のその言葉を聞いてだ、秀長はやや呆れた様にして言った。
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