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ドリトル先生の名監督
第七幕その五

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「こうした身なりなんだ」
「いつもスーツで」
「そうされてるんですね」
「そうなんだ、夏でもね」
 ブレザーは脱がないのです。
「そうしてるんだ」
「夏は暑くてもですか」
「大丈夫ですか」
「僕はそんなに汗をかかないからね」
 そうした体質ではないというのです。
「暑がりでもないから」
「夏にブレザーでも平気ですか」
「そうなんですね」
「特にですね」
「そうしなくてもいいんですね」
「そうなんだ、だから夏でもブレザーだよ」
 そして冬にはコートを着ます。
「そうしているんだ」
「ですか、それで相撲部の方はですか」
「顧問としてですね」
「ちゃんとですね」
「部活に出ておられるんですね」
「そうしてるよ、今日も行くよ」
 部活にとです、先生は微笑んで答えました。
「皆の頑張りを観にね」
「じゃあ部活では竹刀を持って」
「それで監督ですね」
「竹刀?持ったことはないよ」
 それこそ一度もとです、先生は学生さん達にすぐに答えました。とんでもないといったお顔にもなっています。
「ましてやそれで叩いたことはね」
「ないんですか」
「相撲部屋では常ですけれど」
「竹刀で叩いて指導するって」
「そうはされないんですね」
「体罰は駄目だよ」
 先生はここでご自身の持論を出しました。
「暴力は何も生み出さないよ」
「先生暴力お嫌いですしね」
「もうこれ以上はないまでに」
「だから相撲部の部活の時もですか」
「竹刀を持たずにですか」
「体罰、暴力も」
「絶対にしないよ」
 それこそというのです。
「何があってもね」
「そこにおられても」
「指導はされてもですね」
「暴力は振るわれない」
「いつも通りですか」
「皆暴力を振るわれたくないよね」
 先生は学生さん達に確認しました、動物の皆も一緒ですが皆は今は研究室でそれぞれ寝たりくつろいでいたりしています。
「そうだね」
「はい、やっぱり」
「殴られたりしたら痛いですし」
「罵られることも嫌です」
「そうしたことは」
「そうだね、自分がされて嫌ならね」
 先生はまた皆に言いました。
「もうね」
「それならですね」
「絶対に自分もしない」
「そうしないといけないですね」
「そうだよ、それに暴力はね」
 それこそはというのです。
「人をそれで従わせたり八つ当たりの為に行うね」
「大抵の人がそうですよね」
「暴力を振るう人はですね」
「いつもそうしますね」
「殴ったり蹴ったりして」
「そして罵って」
「それは弱い人のすることだから」
 先生はこうも考えているからです、そしてというのです。
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