第三章
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「歩けること、走られることは素晴らしいことなのの」
「そうなんだね」
「そして感謝しないといけないの」
「誰に?」
「神様によ」
こうお話するのでした。
「歩ける、走られる様にしてくれている」
「けれど世の中不幸にもそれが出来なくて苦労している人もいるんだ」
お父さんもこれまで以上に優しい声でお話します。
「そうした人達もいてそうした人達は悪いことをしていなくてもな」
「そうなるんだ」
「そして苦しい思いをしているんだ」
「何もしていなくてもなんだ」
「病気や事故で怪我をしたりしてな」
そのうえでというのです。
「そうした人もいる、そして誰でもな」
「僕でも?」
「ああ、そうなるかも知れないんだ」
病気や事故で、というのです。
「そして歩けなくなったり走られなくなる場合もあるんだ」
「そうなんだね」
「誰でもな」
「ううん、じゃあ僕は歩けて走られることに」
「そう、動けることについて」
「感謝しないといけないんだね」
「神様にな」
お父さんもこう言うのでした。
「そうしないといけないんだ」
「わかったよ、僕」
亮太はお父さんとお母さんに頷きました。
「動けることって凄くいいことなんだね」
「そうだ、だからな」
「今日お母さん達が言ったことを忘れないでね」
「そうするよ、歩けて走られて」
今度はです、亮太はその場で自分の足をとんとんとさせました、確かに動いています。
「動ける、神様に感謝するよ」
「そして動けない人を馬鹿にするな」
「そのことも覚えておいてね」
「そうするよ」
亮太はお父さんとお母さんに確かな顔で約束しました、そしてこの時からです。
お家でも保育園でも元気よく走って運動することになりました、保育園の先生はその亮太に驚いて彼に尋ねました。
「また急にどうしたの?」
「うん、走られることっていいことだよね」
「急にそう思ったの?」
「だって世の中走りたくても走られない人がいるよね」
こう先生に言うのでした。
「そうだよね」
「ええ、色々な事情でね」
「けれど僕は走ることが出来るから」
それで、というのです。
「神様にそうしてもらってるから」
「だからなのね」
「走られることに感謝してね」
そしてというのです。
「走るよ」
「そうしていくのね」
「うん、走られることって素晴らしいことだから」
そのことがわかったからというのです。
「走るよ」
「そうするのね、それじゃあ」
「うん、これからは頑張って走るよ」
そう出来ること神様に感謝しながらというのです、亮太は走ることが誰よりも好きになりました。そう出来ることがとても素晴らしいことだとわかったので。
動けること 完
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