第一章
[2]次話
猪突猛進
猪武者という言葉がある、池田暢樹はその言葉がぴったりとあてはまる青年だ。
白い肌とすっきりとした頬と顎の細面、きりっとした目元と細長い耳と鼻、ピンクの唇の黒のショートヘアを持っている。背は一七四位で細い身体からはこの言葉が当てはまると思われないが。
その行動は違う、考えるよりもだ。
「まずやるぞ」
「またかよ」
「またまずやってみるか」
「動くっていうんだな」
「そうするんだな」
「ああ、そうだよ」
暢樹自身もこう答える。
「やってやる、今回もな」
「今回は文化祭だがな」
「文化祭の作業もか」
「ちゃんとやるか」
「そう言うんだな」
「ああ、文化祭の作業はな」
それはというのだ。
「多いからどんどんな」
「やるのか」
「動くっていうんだな」
「多いからこそ」
「そうするっていうんだな」
「そうだよ、考えてる暇なんかあるか」
それよりもというのだ。
「動いてどんどん終わらせるぞ」
「いや、それはいいけれどな」
「しかしな」
「ちょっと考えろ」
「頭使えよ、頭」
「いつも何も考えないで動くけれどな」
「だから何かと後で問題起こったりするだろ」
実はその作業でなかったりミスをしたりだ、暢樹が動くとそうなるのだ。
それで周りは止めるが人の話を聞く暢樹ではなくだ。
いつも考えずに動く、それは部活でも同じでだ。
サッカー部にいるが考えるより走る、そして仲間に言うのだ。
「こっちだ!俺に回せ!」
「おい、御前ディフェンダーだろ」
「ディフェンダーがオーバーラップするな」
「まずは止まれ」
「自分のポジションに戻れ」
「ここで攻めないと駄目だろ」
だが彼はオーバーラップを続けながらまだ言う。
「だからな」
「その時は俺が言う!」
部長のキーパーが後ろから言った。
「だからまずは戻れ!」
「戻らないと駄目か」
「戻らないと怒るぞ」
こう言うのだった。
「わかったな」
「そこまで言うんだったらな」
「動くよりもだ」
むしろというのだ。
「まずは考えろ」
「ここでもそう言うんだな」
「サッカーは頭だ」
部長は強く言った。
「頭を使って戦え、いいな」
「やれやれだな」
人の話は聞かないが強く言うと止まる、だから皆彼を止める。そうしていたが。
暢樹のテストの成績を見てだ、皆は首を傾げさせた。考えない彼であるが。
「成績はいいんだな」
「考えないのに何で成績がいいんだ?」
「あそこまで頭悪いのにな」
「どうしてなんだよ」
「えっ、だって勉強してるからだよ」
それでとだ、暢樹はいぶかしむ友人達に答えた。
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