13話目 本質
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相手トレーナーの返答はこのようなものであった。
(『チルの“コットンガード”』ねえ……)
グレイは、その言葉が妙に印象に残った。
再びギャラドスが突撃する。
チルタリスは勢いよくギャラドスの方へ跳び、今度は自分の翼をギャラドスに振りかざした。チルタリスの翼で殴りつけられたギャラドスは、今度は地面に墜落した。
「KK! “たきのぼり”だ!」
すかさずグレイが指示した。
墜落してダメージを受けたギャラドスだが、即座に態勢を立て直し、真上のチルタリスに向かって“たきのぼり”を放った。
相手のチルタリスは、ギャラドスの水をまとった突撃に押し上げられ続け、天高く吹っ飛んだ。バトルの初めにギャラドスが1発放った“たきのぼり”よりも強烈な一撃であった。
相手トレーナーは、その威力の高さに驚いた様子を見せた。そんな相手を見ながら、グレイは内心でガッツポーズをする。
(見たか? これがKKの“たきのぼり”の本当の威力だ! “たきのぼり”はな、上方向の相手に攻撃する時に、特に威力が高くなるんだよ!)
水をまとって相手に突撃する攻撃技“たきのぼり”。グレイが、自分のギャラドスが使う“たきのぼり”に、そのような特殊な性質がある事に気がついたのは数日前である。
ふと、グレイは考える。
(“たきのぼり”は上に向かって攻撃すると強い……これって、全てのポケモンに当てはまることなのか? ギャラドスの使う“たきのぼり”だけに当てはまるのか? もしかして、KKの“たきのぼり”だけに当てはまることなのか?)
ここでグレイは、先ほどの相手トレーナーの『チルの“コットンガード”』という言葉が頭をよぎった。
(つまりこれは、『KKの“たきのぼり”』って事か? 『KKの“たきのぼり”』は、上方向の相手を攻撃する時に威力が高くなる……って事なのか?)
そして、ふと思う。
(これこそが、あの爺さんが言っていたデータや分類ではない『本質』なんじゃねえか?)
グレイは、ゴンの言う『本質』という言葉が少しだけ消化できた気がした。
グレイは我に返り、目の前の戦いに目を戻す。
ギャラドスが、上空からチルタリスに向かって隕石のように迫っていた。
「チル! “アイアンテール”」
相手トレーナーがそう指示した。
(“アイアンテール”ね。硬い尻尾で相手を叩きつける鋼タイプの攻撃技だろ? ジムリーダーの爺さんのポケモンが使ってきたから分かるぜ)
グレイは、2週間前に戦ったジムリーダーのゴンのポケモン。ミニリュウとクリムガンを思い出した。
しかし、相手のチルタリスが使う“アイアンテール”は、グレイの記憶とは何か違うように思えた。
チルタリスの尻尾が不自然に伸びて、変形し、急に尻尾の面積が大きくなった。チルタリスの体の後ろから巨大な
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