暁 〜小説投稿サイト〜
トラベル・トラベル・ポケモン世界
13話目 本質
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 相手トレーナーの返答はこのようなものであった。
(『チルの“コットンガード”』ねえ……)
 グレイは、その言葉が妙に印象に残った。

 再びギャラドスが突撃する。
 チルタリスは勢いよくギャラドスの方へ跳び、今度は自分の翼をギャラドスに振りかざした。チルタリスの翼で殴りつけられたギャラドスは、今度は地面に墜落した。
「KK! “たきのぼり”だ!」
 すかさずグレイが指示した。
 墜落してダメージを受けたギャラドスだが、即座に態勢を立て直し、真上のチルタリスに向かって“たきのぼり”を放った。
 相手のチルタリスは、ギャラドスの水をまとった突撃に押し上げられ続け、天高く吹っ飛んだ。バトルの初めにギャラドスが1発放った“たきのぼり”よりも強烈な一撃であった。
 相手トレーナーは、その威力の高さに驚いた様子を見せた。そんな相手を見ながら、グレイは内心でガッツポーズをする。
(見たか? これがKKの“たきのぼり”の本当の威力だ! “たきのぼり”はな、上方向の相手に攻撃する時に、特に威力が高くなるんだよ!)
 水をまとって相手に突撃する攻撃技“たきのぼり”。グレイが、自分のギャラドスが使う“たきのぼり”に、そのような特殊な性質がある事に気がついたのは数日前である。
 ふと、グレイは考える。
(“たきのぼり”は上に向かって攻撃すると強い……これって、全てのポケモンに当てはまることなのか? ギャラドスの使う“たきのぼり”だけに当てはまるのか? もしかして、KKの“たきのぼり”だけに当てはまることなのか?)
 ここでグレイは、先ほどの相手トレーナーの『チルの“コットンガード”』という言葉が頭をよぎった。
(つまりこれは、『KKの“たきのぼり”』って事か? 『KKの“たきのぼり”』は、上方向の相手を攻撃する時に威力が高くなる……って事なのか?)
 そして、ふと思う。
(これこそが、あの爺さんが言っていたデータや分類ではない『本質』なんじゃねえか?)
 グレイは、ゴンの言う『本質』という言葉が少しだけ消化できた気がした。

 グレイは我に返り、目の前の戦いに目を戻す。
 ギャラドスが、上空からチルタリスに向かって隕石のように迫っていた。
「チル! “アイアンテール”」
 相手トレーナーがそう指示した。
(“アイアンテール”ね。硬い尻尾で相手を叩きつける鋼タイプの攻撃技だろ? ジムリーダーの爺さんのポケモンが使ってきたから分かるぜ)
 グレイは、2週間前に戦ったジムリーダーのゴンのポケモン。ミニリュウとクリムガンを思い出した。
 しかし、相手のチルタリスが使う“アイアンテール”は、グレイの記憶とは何か違うように思えた。
 チルタリスの尻尾が不自然に伸びて、変形し、急に尻尾の面積が大きくなった。チルタリスの体の後ろから巨大な
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ