13話目 本質
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リス、なんか貫禄があるな……)
戦う相手が目の前にいる状況。しかし相手のチルタリスは、鳥ポケモンであるはずなのに翼を広げて飛ぶ様子がなく、足で地面に立ち、翼をたたんで悠然としている。
「おいKK! ナメられてんじゃねえの? 1発かましてやれよ」
グレイはギャラドスを煽って攻撃を指示した。
ギャラドスは、水をまとって相手に突撃する水タイプの攻撃技“たきのぼり”を使いながら、相手のチルタリスに向かう。
「チル! “ドラゴンクロー”」
相手トレーナーに「チル」と呼ばれたチルタリスは、巨大な爪で相手を切り裂いて攻撃するドラゴンタイプの攻撃技“ドラゴンクロー”を当てるため、ギャラドスに近づく。しかし、その近づき方にグレイは違和感を覚えた。
相手のチルタリスは、走ってギャラドスに近づいてくる。翼をもつ鳥なのに、走って近づいてくる。
その姿はまるでダチョウのようであった。ポケモンで例えるならドードリオか。
チルタリスはジャンプして足の爪から“ドラゴンクロー”を放った。ギャラドスの“たきのぼり”とチルタリスの“ドラゴンクロー”が激しくぶつかる。
技がぶつかり合った衝撃で両者とも弾き跳ばされるが、相手のチルタリスはやはり翼で飛ぶことはせずに地面に着地した。
グレイが相手トレーナーに声をかける。
「あなたのチルタリス、飛べないんですか?」
「いや、そんな事はないよ。チルは飛ばない戦い方が好きなのさ。実際、チルは強いだろ?」
相手のチルタリスが強いことはグレイも認めざるを得ない事である。グレイの手持ちポケモンの中で最も強い、戦闘狂ギャラドスと互角に戦えているのだから。
相手のチルタリスが空を飛ばないのは、決して手を抜いている訳ではない。全力で戦う時の戦闘スタイルが、あの飛ばない戦い方なのである。
ギャラドスが再びチルタリスに突撃する。
「チル! “コットンガード”だ!」
相手はそう指示した。
(“コットンガード”? 確か、大量の綿毛で自分を包み込んで、防御力を超大幅に高める技だったな)
グレイはそう思ったのだが、相手のチルタリスを見る限り、綿毛で全身を覆う気配はない。むしろフワフワした翼がすごく硬い動きになっていく。さらに相手のチルタリスはギャラドスに狙いを定めるような動作をしている。
次の瞬間、チルタリスは勢いよくギャラドスの方へ跳び、自分の翼をギャラドスに向かって振りかぶった。どういう訳かガチガチに硬くなったチルタリスの翼で殴りつけられたギャラドスは弾き跳ばされた。
「それ! “コットンガード”じゃなくて“はがねのつばさ”じゃないですか?」
グレイは思わず相手に声をかけた。
「普通の“コットンガード”とか“はがねのつばさ”とか、よく知らないけど、これは正真正銘の『チルの“コットンガード”』だよ」
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