第一話『左腕に籠手を持つ男』
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時に偶々溺れていた三歳の少年を救助した際、貴婦人≠ェ俺の中に居る存在に反応して姿を現し、ちょっとした問答の後に受け渡された。
〈宝剣〉は紀元二世紀末、漢王室の血を引く娘が単身大陸に渡ったらしい(伝説では流星に乗ってやって来たという)日本人の青年と共に乱世を収め、その青年と添い遂げて現在の中華三大国≠フ一つ〈大蜀〉を作り上げた(後二つは〈大魏〉〈大呉〉)。その直系の子孫である俺の母親から継承した。俺の名前に入っている漢数字の『一』も直系男子の通字(女子の場合は『桃』)だ。
〈神剣〉は以前異世界≠フ日本に召喚されて、創造神≠ェ闇堕ちして妖魔が蔓延り『国生み』からの神々や『日露戦争』辺りまでの歴史上の人物達(性別・武将・文化人問わず)までもが入り乱れる混沌とした状況を解決して、帰還後に此方の世界の日本神話勢から受け取った報酬の一部だ。
これが何らかの創作物の世界なら設定の盛り込みすぎとか言われそうだ。
「い、今のはまぐれに決まっているわ!」
そう叫んで、レイナーレは新たに〈光の槍〉を生み出して、立て続けに三本投擲してきた。
俺は前転で地面を転がって飛来する槍の下を潜り抜けながらレイナーレの足元に接近し、水面蹴りを繰り出す。
「チィッ!」
レイナーレは舌打ちしながらとっさに跳躍して避け、そのまま数メートル上昇して空中に止まり、地上の俺と対峙する。
「ふつくしい……」
思わず俺は呟いた。
月を背景に、背中に漆黒の翼を広げて空中に佇むレイナーレの姿はなかなか幻想的だ(服装は兎も角)。
「い……いきなり何を言っているのかしら!?」
とレイナーレが慌てているその時──地上に魔法陣≠轤オきものが紅く輝き、その中から一人の人物が現れる。
「──あなた達、ここで何をしているのかしら?」
いきなり現れてそう曰ったのは、赤い髪の巨乳美女。俺の通う〈駒王学園〉の三年生で、校内で男女問わず絶大な人気を博す二大お姉様≠フ片割れ、そして爵位級≠ノ届くであろう力を持つと感じる〈悪魔〉──リアス=グレモリー。
「グレモリー家か!」
そう叫んだレイナーレを、腕を組んで地上から見上げるグレモリー先輩。
「御機嫌よう、堕ちた天使≠ウん。私の管理している土地で好き勝手させないわ」
睨み合う二人。
……そう言いますがグレモリー先輩、あなたの管理、割と杜撰ですよ。俺、結構町に入り込んだはぐれ悪魔≠退治してるんだぜ。
「……今日はこの辺にしておいてあげるわ」
そう捨て台詞を吐いてレイナーレはこの場から飛び去った。めだか師匠?
後に残ったのは俺とグレモリー先輩。
「──それで、あなたは何者かしら?」
と此方に振り向いて尋ねる先輩。
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