第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#3
STRENGTHV 〜Sacred Lovers〜
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取りを取り付けてくれた彼女には
心から感謝しているが。
(しかし “待ち人” がいるから一緒には行けないというのは、
一体どういう事だったのか?)
戦闘終了後のやや弛緩した空気の中、
思考を巡らす淑女の躰が突如強い力で引き寄せられた。
(な、何を!?)
(下賎……!)
件の銀髪の男が背中越しに肩を抱き、その胸により深く自分を招き入れた。
羞恥や憤りが心中で形になる前に、耳元へ届く空間を歪めるような異質な音。
反射的に視線を向けた先、白銀の甲冑を纏った荘重な騎士の姿が在り、
鮮鋭な構えのまま片手で細剣を廻転させ一呼吸に満たない間の中で
その切っ先が柄を握った手と共に消えた。
「……」
呆気に取られたヴィルヘルミナの視界で、
等分に細切れとなった残骸が甲板の上に落ちる。
余りに数が多過ぎたので撃ち漏らしが在ったのか?
しかし手応えは十二分、流式を放った自分自身ですら気づいていなかったのに、
否、それより……
(剣捌きが、全然視えなかったのであります)
(偶発)
各々心中で驚嘆を漏らし、眼上の青年をみつめる二人の女性。
その男、J・P・ポルナレフは、少年のような人懐っこい笑みを浮かべ告げる。
「気をつけろよ。淑女?
スタンドは “生命の幻象”
形容に拠ってはチョイと引き千切ったくれーじゃ、
「再生」 しちまう能力も在るんだ。
だから修復不能になるまでバラバラにしねーとな」
ソレは、紅世の徒も同じだ。
だから攻撃の際には細心の注意を払って命中精度を確認している。
しかし自分でも見落とすほどの微細な誤差を、この男は見切ったというのか?
その為には自分の攻撃も相手の攻撃もスベテ視野に収め、
尚且つその一つ一つの変化を隈無く認識しなければならないというのに。
初めて視たにも関わらず。
「アンタの技、確かに見事の一言に尽きるが、
相手の刃が荒いから重なっちまってて、ダメージの浅いのが幾つか在った。
一度甲板上に落ちたがまたすぐ動き出すと踏んで
構えを崩さずにいて良かったぜ」
心中を見透かしように、分析した解答を補足する男。
結果的には(忌々しいが)護ってもらった形になるので、
感謝しなければならないのだがどうも素直に応じる気になれない。
しかし。
「……一応、御礼は言っておくのであります」
「遺憾」
言葉と表情を全く逆にして、ヴィルヘルミナはそう告げた。
「イヤァ〜、いいって、いいって!
か弱い女性を護るのは男の役目だからよ!!
ウハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
急に浮かれた口調になった銀髪の男は、
“残った方の” 手で箒のような頭を頻
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