第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#3
STRENGTHV 〜Sacred Lovers〜
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てやるからなッ!」
どこかで背後に立つ女性以上に無機質な声が聴こえたような気がしたが、
それ以上に優先しなければならない事象の為に疑念は霧散した。
「……」
穴に落ちた少年 (学生服からそう判断した) を、
傷だらけの躯で必死に引っ張り上げている男を、
その女性は冷水のような瞳で見据える。
告げた言葉は、己に対してではなく
“今の行為そのもの” について述べたのだが、
どうやら気づいていないらしい。
(多少の心得はあるものの、頭の回転は鈍いようであります)
(無能)
心中での厳しい論詰にそれ以上の讒謗が折り重なった。
そこに、足下で描かれた不可思議な紋章を踏みしむ音。
向けた視線の先に、先刻己を震撼せしめた威力を発現させた者が立っていた。
「取りあえず、礼を言えばいいのか?
出来れば敵であるという事態は勘弁願いたいが」
若干表情を険しくしながらも、老齢にしては鍛え抜かれた躯の男性が問う。
「……」
正直何と言ったものか、反発する気もなかったわけではないが
場を混乱させない為、その淑女は一番無難な台詞を告げた。
「取りあえず、「敵」 ではないのであります。
戦地故に、詳細は後ほどに願うのであります。
“マスター” 」
「ハァ?」
耳慣れない敬称に、ジョセフはワシの事か? と想わず己を指差す。
そこ、に。
「何言ってんだジョースターさんッ!
たった今オレ達を助けてくれたんだぜ!
敵のわけねーだろうが!!」
脇から浅薄の断を下した男が、いきなり己の肩を掴み胸元に引き寄せた。
(おあ、うっ?)
全く意想外の、今まで一度もされた事のない出し抜けな行為に、
淑女は拒絶する以前に頓狂な声をあげてしまう。
「本当にありがとうよ!!
どこの誰だか知らねーが、アンタみたいな美人が味方に来てくれるなんて!
世の中捨てたもんじゃあねーぜッ!」
言いながら男は、鍛え抜かれた広い胸をグイグイと頬に押し付けてくる。
圧迫と嗅ぎ慣れない男の香りに、淑女は意味も解らず細い両腕をジタバタさせた。
「むう、離すので、あります」
首一つ分 (髪を入れると三つ分位ありそうだが)
高い青年の胸を両手で一生懸命押し返しながら、
彼女はようやく抗議の意を発した。
「おぉ! すまねぇすまねぇ!
あんまり嬉しかったもんだからつい、な。
名前も知らないレディにいきなりするコトじゃなかったな」
(……)
だったら名前を知ったらいきなりするのか? と、
淑女は眉に微かな険を寄せる。
「オレはJ・P・ポルナレフ。
こっちは花京院でこっちがジョースターさんだ。
アンタ、名前は?」
何か、すっかりこの男のペースに巻き込まれ己の言動が封じられているが、
(本
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