第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#3
STRENGTHV 〜Sacred Lovers〜
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明らかに自分のミスなのに。
彼は手を離せばいいだけなのに。
「む、うぅ…… 流石に、厳しいか……?」
莫大な量の荊で数多の刻刃を押し止めるジョセフの顔に多量の汗が流れ落ちる。
全身を引き絞る激痛に屈せず、焦熱地獄へと続く
暗穴から花京院の躰を抜き出そうと渾身の力を込めるポルナレフ。
各々が各々の為に、限界以上の痛みに堪え力を振り絞る。
その凄惨ながらも凄烈なる空間。
ソコ、に。
「!!」
「!?」
全く対極の光が、走った。
どこかで視た感覚と共に頭上を疾駆していく
華麗なる桜色の炎を見上げるジョセフと花京院の間で、
(何だ!? 新手の 『スタンド使い』 かッ!?)
ポルナレフが手に込めた力を緩めぬまま青い瞳を見開く。
その彼の眼前に、正確には周囲一体に、幾条もの白片が気流に靡く。
ヒラ、ヒラ。
ヒラヒラ、と。
大樹から捲き散る花びらのように。
ソレが異常に長いリボンであるコトをその場にいる全員が認識した刹那、
その純白の織布は突如意志を持ったように拡散し、凄まじい勢いで空を切り裂いた。
「――ッッ!!」
滑らかな質感のリボンが、硬質な刻刃の群れを薄紙のように
微塵の残骸へと化しめていく。
視界を覆い尽くす、文字通りの白刃その一つ一つが
全てバラバラの動きをするという精密動作。
ものの僅か数秒で、周囲を覆い尽くしていた鋼の嵐が純白の旋風に薙ぎ払われた後、
その霊妙極まる戦技を繰り出した操者が膝まで届く編み上げブーツの爪先を鳴らし
軽やかに船上へと舞い降りた。
(め、女神……か……?)
出血に伴う酸素の欠乏で意識が朦朧としていた為か、
ポルナレフは眼前に立った敵かも知れないその存在を何の蟠りもなくそう評した。
肩にかかる、蕭やかな躑 躅 色の髪。
至上の宝石のように澄み切った、赤 紫の瞳。
女性にしてはやや長身の、嫋やかな躰を称える色彩は幻想的な桜霞。
漆黒の闇の中でも、凄惨なる戦場の随でも翳るコトのない
その優麗な淑女の風貌は正に “玲瑞の晶姫”
……ただ、着ている服は丈長のワンピース、エプロン、白いヘッドドレス、
俗に “メイド服” と呼ばれる型破りなモノだったが。
「……」
肉体に刻まれた疵の痛みさえも忘れ、
呆然と彼女を見上げるポルナレフに、
その女性が感情の起伏のない声で告げる。
「戦闘中、他に気を奪われるとは、
戦士にあるまじき姿でありますな……」
「浅慮」
その服装と同じく、些か以上に変わった口調から促されるように
ポルナレフは血塗れの手が握る存在に眼を向けた。
「おぉ! すまねぇ花京院! 今引き上げ
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