第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#3
STRENGTHV 〜Sacred Lovers〜
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子は鋼鉄の大地を蹴り、
スタンドと共に開けた空間に出た。
「……」
そしてその琥珀色の瞳にスタンドパワーを集束させた
遠隔能力者特有の透視力で、
刻刃の群れを生み出す源を鋭く見据える。
同時に、右手を左肩口の上に、左手を右脇腹の下に添える独特の構え。
そこから全身を流動しながら外に湧き出る翡翠色のスタンドパワー。
ソレら3つの要素が導き出す、清廉なるスタンド使い花京院 典明の最大流法
『エメラルド……』
冷たく澄んだ声と共に、躰を取り巻くスタンドパワーが夥しい結晶と化し
廻転運動を始めた瞬間。
バグンッッ!!
突如花京院の足下が大きく口を開け、その中に彼を引き擦り込んだ。
「花京院ッッ!!」
咄嗟に飛び出していたポルナレフが女性のように細い手を掴み、
それを認めたジョセフも援護の為傍へと駆け出す。
「……ッ!」
腕一本で繋がった状態のまま、花京院は己の真下で滾る銀朱色の灼熱に寒気を催す。
突如開けた暗穴の先にあったモノは、融解した金属の濁流が蠢く溶鉱炉。
攻撃がクレーンや管制塔のような “動く物” からだけだったので
完全に盲点となっていた。
巨大なる船体全域がスタンドなら、
当然このような 『罠』 も存在する事を類推して然るべきだったのだ。
「待ってろ。すぐに引き上げてやる」
数瞬の思考の後、耳に入った青年の声。
しかし
「ポルナレフッ! 後ろだッッ!!」
暗穴から覗く月を背景に、無数の刻刃が彼の傍に迫っていた。
「――ッッ!!」
息を呑んだのは、自分か彼か?
降り注いだ刃が騎士のスタンドごとポルナレフの躯を貫き、
血の雫が焦熱を宿す暗穴の縁で蒸発した。
「手を離すんだポルナレフ!!
このままでは君まで中に引き擦り込まれるぞッッ!!」
己の保身は心中から完全に消え去り、花京院は声の限りに叫んだ。
スタンドが纏った甲冑に拠って致命傷は免れたようだが、
一度刺さったら抜け難い構造になっているのか刻刃は疵口で軋み
徐々に内部へと喰い込んでいく。
「ぐぅ……ッ! う……おぉぉ……ッ!」
口中をきつく食いしばり、苦悶を噛み殺すポルナレフ。
更にその背後からは刃の第二陣が既に迫ってきている。
ジョセフがハーミットでなんとか食い止めているが、
突破されるのは時間の問題だろう。
「早く手を離せ!! ポルナレフ!! ボクなら大丈夫だ!!
倒さなければならない者がいるんだろう!!
“何もするな” って言ったじゃないかッッ!!」
責めるような口調で叫び続ける花京院の手をより強い力で掴み、
その銀髪の青年は血に塗れた微笑で静かに言った。
「つまらんこと、言うな……」
月明かりに照らされるその風貌に、想わず息が詰まった。
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