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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七十話 共同宣言
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もいい、内乱は長引いて欲しいと僕も思う。


十一月二十四日

暗殺されたと思っていたヴァレンシュタイン司令長官が生きている事が分かった。残念だと思ったけど、むしろこれでいいのだと思った。シャンタウ星域の会戦の仇を討つ。ヴァレンシュタイン司令長官を殺すのは同盟軍だ。

ヴァレンシュタイン司令長官が生きていた以上帝国軍はあまり混乱せずに内乱を鎮圧するに違いない、皆がそう言っている。その所為で出兵論は急速に力を失っているらしい。政府も軍も出兵には消極的のようだ。

「主戦論を唱える事と戦争に勝つ事は別だ。勝つためにはそれなりの準備が必要だ」
トリューニヒト議長の言葉だ。議長によれば今は国力回復の時期、準備の時期で出兵などすべきではない、そういうことらしい。

宇宙艦隊司令長官のビュコック提督も“今は無理の出来る状況ではない。体力の回復に力を注ぐという政府の判断は正しいと思う”と言っている。僕は少しでも帝国に思い知らせてやりたいと思うけど、今は国力回復が必要という事は分かっている、我慢するしかない。でも国力が回復したら必ず帝国に思い知らせてやる。


十一月二十六日

今日、また驚くべき事が起きた。最近驚いてばかりだけど本当に驚いた。同盟と帝国が捕虜を交換することを発表したのだ。政府が出兵論に消極的なのもこの所為だったみたいだ。

フェザーンで行なわれた共同会見を僕も見たけれど、はっきり言ってヘンスロー弁務官がかっこ悪いので見ていて面白くなかった。帝国のレムシャイド伯爵の方が堂々として落ち着いていた。あの二人が逆だったら良かったのに。

ハイネセンでは捕虜交換が謀略なのかどうかで皆が話している。あれだけ大々的に会見を行なったのだから本当だろうという人もいれば帝国など信用できない、謀略に違いない、そういう人もいる。僕にはちょっと判断できないけど本当だといいなと思う。

大体において皆捕虜が返還される事は良い事だと思っている。レベロ財政委員長は“扶養家族が減って稼ぎ手が戻ってくるのだ。財政委員長としてはこれ以上の慶事は無い”と言っていた。余りにも露骨過ぎて皆呆れていたけど。

今日のハイネセンは和平論で大騒ぎだった。帝国は改革を行い変化しようとしている。今回の捕虜交換を機に帝国との和平を積極的に考えるべきだと言うのだ。はっきり言って納得できなかった。暴虐なる銀河帝国を倒し宇宙に民主共和制を広める、それこそが自由惑星同盟の使命の筈なのに……。

トリューニヒト議長が記者会見を開いていたけど、議長の考えは“時期尚早”だった。“帝国がどのような方向に進むかを見極めてからでも和平は遅くない。今はただ国力を充実させるのみ”そう言い切った時の議長は格好良かった。

それにしても昨日までの同盟は出兵論、今日は和平論、明日はど
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