第三章
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そのことから行く先を聞いて上司にこうも言った。
「いや、まさか」
「まさか?」
「ヨルダンですか、行き先は」
「流石に内戦とかが起こっている国は無理だからな」
コンビニのノウハウを伝えるどころか普通のビジネスの話もだ。
「だからな」
「比較的落ち着いている国で」
「それで君は行く国はだ」
「ヨルダンですか」
「そうなった」
「そうですか、何か」
ここでだ、邦臣は上司に神妙な顔で言った。
「縁ですね」
「縁?」
「実は大学時代の友人にあっちからの留学生がいまして」
「ヨルダンからのか」
「その彼に一度来るかって誘われていました」
「成程な、それで今度か」
「ヨルダンに出張と聞きまして」
それでというのだ。
「縁だと思いました」
「そうした事情があったんだな」
「はい、まあそこで彼に会うとは思いませんが」
マサムの顔を思いだしつつ上司に話した。
「これも縁ですね」
「人間何がどうなっていくかわからないからな」
「はい、じゃあその縁も思いだしながら」
「あっちでやっていってくれ」
「そうしてきます」
こう上司に行って彼はヨルダンに向かった、そしてヨルダンに着いてから現地でのビジネスパートナーに会うとだった。
これまた縁だった、何とそのパートナーとは。
「まさかな」
「ははは、本当にな」
背広姿の二人は言い合った、邦臣は苦笑いでマサムは明るい笑顔で。
「会うなんて」
「アッラーの思し召しだな」
「不思議な話だよ」
「人から見て不思議なことはアッラーにとっては何でもないさ」
唯一にして絶対のこの神にとってはというのだ。
「まさにね」
「イスラムではそうなるんだね」
「そうとも、全てはアッラーの思し召しだよ」
まさにそれだというのだ。
「人と人の出会いもね」
「そして僕達はまた会った」
「ここでね」
「ヨルダンに来て君と会う」
「そうなったね」
「うん、本当に」
それこそというのだ。
「アッラーの思し召しだよ」
「僕は仏教徒だから」
邦臣は彼の宗教から話した。
「そこは違うけれど」
「そうなるね」
「御仏のご加護かな」
「ははは、仏様だね」
「そうなるね、しかし今日ここに来たのは」
楽しい談笑からだ、邦臣は真剣な顔になった。そしてそのうえでマサムに対して真剣な顔に戻ってそのうえで彼に言った。
「仕事の話だからね」
「うん、それだね」
「コンビニだけれど」
「そうそう、実は叔父さんがね」
彼に学費等も出してくれたこの人がというのだ。
「グループの社長なんだ」
「石油王のだね」
「そうだよ、石油王でね」
そしてというのだ。
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