第二十六話 退所その一
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第二十六話 退所
アパートは普通のものと言ってよかった、畳の部屋と台所にトイレ、そして一人用の風呂場があった。その部屋の中に入ってだ。
優花は中を見回してだ、副所長にこう言った。
「いい場所ですね、日差しもよく入って」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「日差しがよく入るだけあってね」
「暑いんですね」
「そう、神戸よりもね」
遥かにというのだ、そのこともしっかりと話す副所長だった。
「暑いから」
「九州はそうなんですね」
「そうなの、特に鹿児島になるとね」
「南国だから」
「余計によ」
そうなるというのだ。
「だから神戸とそこは違うから」
「気をつけてですね」
「そうしてね、けれどここは確かに日差しも強いから」
だからというのだ。
「洗濯ものもよく乾くわ」
「それはいいことですね」
「スーパーも近くにあるから」
それもというのだ。
「安心してね」
「あっ、スーパーもあるんですか」
「そうよ」
実際にというのだ。
「八条スーパーがね」
「あるんですね」
「そうなの」
実際にというのだ。
「だからお買いものも楽よ」
「それはいいことですね」
「そうでしょ、後ね」
「後?」
「スーパー銭湯もあるから」
「あっ、それもですか」
優花は副所長の話に明るい顔になって応えた。
「それはいいですね」
「貴女お風呂好きね」
「シャワーよりも」
「お風呂ね」
「そちら派でして」
そしてというのだ。
「夏でもお風呂です」
「だからこそなのね」
「お金に余裕があったら」
その時はというのだ。
「行きたいですね」
「そうなのね、それならね」
「行くといいですね」
「そうしたらね」
いいとだ、副所長も言う。
「楽しんでね」
「お風呂もですね」
「そう、長崎の全てをね」
こう優花に言うのだった。
「そうしてね」
「わかりました」
「時間はあるし」
「このアパートからですね」
「学校に通ってね」
「そうしながらですね」
「楽しんでね」
アパートの中で優花に笑顔で話す。
「そうしてね」
「長崎、そしてですね」
「九州もね」
「出来れば全体もね」
「福岡にも行って」
「そうしてね、ラーメンを食べるのもいいし」
それにというのだ。
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