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第三章
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「やっぱりね」
「やっぱりって?」
「あの公園には鵺がいたのよ」
「鵺って鳥の」
「妖怪のよ」
 そちらのというのだ、今夜の晩御飯の鯖を焼いたものと青菜と揚げを煮たものを出しながらそのうえで瑠璃に話す。
「そちらの鵺よ」
「その鵺ってあの」
「瑠璃ちゃんも聞いたことあるね」
「頭が猿、身体は虎、足は狸で尾が蛇の」
「その妖怪よ」
「平安時代に退治されたっていう」
「その鵺が公園にいたのよ」
 そうだったというのだ。
「それで鳴いてたのよ」
「そうだったの」
「鵺は弓で射られて退治されてるわね」
「うん、子供の頃読んだ本だと」
 瑠璃はもうラフな私服、部屋着のジャージに着替えている。そのうえで祖母を手伝って電子ジャーを開いてお碗に御飯を入れている。
「源頼政って人に」
「だから鵺は弓矢を怖がるの」
「そうなの」
「それに弓矢を鳴らすとね」
 祖母がしてみろと言ったこの行為もというのだ。
「妖怪とか幽霊を退ける効果があるの」
「あっ、そうなの」
「そうよ、弓も神事に使われるから」
「神聖なものだから」
「そうした効果もあるのよ」
「そうだったのね」
「お祖母ちゃんも先生だったからね」
 それでというのだ。
「こうした話は知ってるのよ」
「そうよね、お祖母ちゃん高校の国語の先生だったから」
「それも古典が主のね」
「だから知ってるのね」
「そうよ、こうしたこともね」
「成程ね」
「もう鵺はあの公園には出ないわ」
 祖母は孫娘にあらためて話した。
「もっとも鳴くだけでね、鵺は」
「何もしないの」
「物語でもただ鳴くだけだったでしょ」
「そういえば」
 瑠璃も言われてみて思い出した、お碗に御飯を入れ終えて今度はお茶を煎れている。
「そうだったかしら」
「外見は怖いけれど」
 鵺という妖怪はというのだ。
「実は何もしないのよ」
「そうだったのね」
「だから弓を鳴らすだけでいいの」
「鵺を退治するんじゃなくて」
「そうよ、そしてね」
「鵺は私が鳴らした弓の音に逃げたのね」
「そうよ、それで妖怪を退けられたから」
 秀代は微笑んで瑠璃にこうも言った。
「瑠璃ちゃんいいことがあるわよ」
「いいことって」
「だから妖怪を退けることは退魔でしょ」
「ええ、そうだけれど」
「それをしたから。しかも命を奪わなかったから」
 その鵺のだ。
「いいことがあるわよ」
「そうなの」
「何があるかわからないけれど」
 それでもというのだ。
「楽しみにしておいてね」
「それじゃあ」
「じゃあ食べましょう」
 ここまで話してだ、祖母はちゃぶ台の自分の席に座って声をかけた。
「これからね」
「ええ、それじゃあ」
「食べてね」
 そしてというのだ。
「お風
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