187話 都に潜む者達
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えているようだった。
「一にも二にもまず劉車騎将軍の信頼を得ることが大事です。董仲穎のことなど無視なされませ」
真悠は歩くのを止め王克に向き直ると彼の服を掴み乱暴に持ち上げた。
「董仲穎を無視しろだと。あいつは義兄上を殺そうとしたのだぞ!」
真悠は王克に顔を近づけ睨みつけた。彼女の瞳には明確な殺意が籠もっていた。王克は苦しそうにしながらも口を開いた。
「りゅう。車騎将軍が。そ。れを。望んでおいで。なのですぞ」
王克の言葉に真悠は舌打ちして王克を解放した。王克は体勢を崩し咳き込んだ。
「義兄上が董仲穎を許そうと。この私は董仲穎を許さない」
真悠は暗い目で虚空を見ていた。その様子に王克は目を瞑り嘆息ししばらくして口を開いた。王克は真悠の内に秘めた激しい怒りの衝動をまざまざと感じた。彼は真悠をこのまま放置することを危険と感じ一計を案じた。
「ならば賈文和を血祭りに上げられては如何でしょうか? 賈文和が劉車騎将軍を殺そうと策を弄した張本人です」
真悠は王克を冷酷な目で見た。
「私には皇帝陛下と弘農王を保護する任務があるわ」
言葉と裏腹に真悠は王克から目を離さない。真悠は目で王克に話を進めろと促した。
「弘農王の消息は掴めておりません。弘農王は董仲穎の屋敷で消息を絶っています。その名分で真悠様が動いたとしても問題無いでしょう。ただし、董仲穎の件はお忘れください」
王克は真悠に懇願した。真悠が董卓に手をかければ、正宗は真悠を見限ると思っているのだろう。王克は必死だった。
真悠は王克の助言に口角を上げ冷酷な笑みを浮かべた。
「義兄上は次代の天子として天に定められし身。何人も義兄上を害すことなどできない。賈文和、分を弁えず義兄上を殺そうとした罪を償わせやる」
真悠は正宗の都での大立ち回りを見聞きして以来、正宗への評価を変えていた。元々から正宗が傷を癒やす力に真悠は驚嘆していたが、正宗が死地から帰還したことで考えが飛躍していた。絶対絶命の死地からの生還。傷を癒やす超常の力。全ては天が正宗に与えたものに違いない。正宗は天に愛される者・天子であると。
王克は真悠の目から董卓を反らせることができ安堵の溜息を吐いた。
「部隊を二つに分ける。お前は皇帝陛下の方を頼むわ。私は弘農王を探す」
王克は真悠に対して拱手し「畏まりました」と言った。
「爺、賈文和には礼を言わないといけないな」
真悠は口角を上げ冷徹な目で禁裏のある方角を見た。王克は何も言わず黙って聞いていた。
「賈文和は義兄上にとって将来目障りとなる百官を掃除してくれた。生き残った百官達は董仲穎憎しで己達が何をしようとしているか理解していない」
真悠は笑った。彼女は愉快そ
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