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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十八話 陰謀家達
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伯アルフレット、そして近衛の協力者……。お互いに信じあっているわけではあるまい。そして動機も別々だろう。だが内乱を引き起こすために協力した……。
「エーリッヒ」
考え込んでいる俺をキスリングが呼んだ。生真面目な表情をしている。
「協力者は他にも居る」
「……」
「宮中内に協力者が居るとしか思えない」
「……」
「ランズベルク伯達が誘拐をする間、誰も彼らを見ていない」
「馬鹿な……」
俺の言葉にキスリングは首を振った。
「嘘じゃない、誰も彼らがフロイライン達を攫うのを見ていないんだ」
「……有り得ない」
有り得ない事だ。宮中内が完全に寝静まるなど有り得ない。各階には必ず誰かが宿直、そして巡回等をしている人間がいるのだ。それを全てやり過ごした。偶然ではない、必然と見るべきだろう。或いは見ても見ぬ振りをしたか……。
「分かっているのは厨房でボヤが有ったということだ。その所為で皆そちらに気を取られたらしい。そしてちょうどその時間帯に誘拐が起きた……」
「ボヤの原因は」
「今調べているが、未だなんとも」
「ボヤを口実に警備を外れたということもあるか……」
キスリングが黙ったまま頷く。
宮中内部の責任は宮内省にある。そこに今回の事件の協力者が居る? だとすると、いやそうとしか思えないが厄介だな。
「犯人が分かるまでは宮中は危険だ、護衛は外さないでくれ」
「私よりもリヒテンラーデ侯だ、宮中に居る事が多いからね」
「ああ、それにしても内務省だけでなく宮内省も信用できないとは……」
「……」
全くだ、内務省だけでなく宮内省も信用できないとは……、内務省だけでなく宮内省……、内務省と宮内省……、まさか……。
「ギュンター、卿が闇の左手になったのは何時だ?」
「? 何の話だ?」
困惑しているキスリングがもどかしかった。
「良いから答えてくれ」
「確か四百八十五年の春だ。もう二年半になる」
あの事件は四百八十四年の春に起きた。
「ギュンター、宮内省の協力者についてケスラー提督に話したか?」
「ああ、もちろんだ」
「何か言っていたか」
「いや、何も言っていなかった」
何も言っていなかった……。気付いていないのか? それとも俺の考えすぎか……。席を立った、キスリングが唖然としているのが分かったが気にしては居られなかった。
応接室のドアを開け、
「フィッツシモンズ中佐、直ぐにケスラー提督を呼んでください。私とキスリング准将が話したいことが有ると」
と言い捨ててドアを閉めた。彼女が唖然としているのが分かったが、だからどうした、知ったことか!
「エーリッヒ、一体」
「待ってくれ、少し時間をくれ」
社会秩序維持局に目を取られすぎたか、いやオーベルシュタイン
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