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嫌われの忌み子あれば拾われる鬼子あり
第1章 第1話 拾われた鬼子
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「傷だらけだなとしか」

「とぼけてるんですか?」

「何を言う、私は至って真剣だよ。君がなぜ傷だらけなのかなど私には全くわからない」

「この角ですよ…短いですけど、鬼の証です。これで…これが原因で僕はそこの村の人たちから暴力を受けたんです」

「ふーん、私には到底理解出来ないものだね」

「は?」

「私には村の人たちがなぜ君に暴力を振るうのか理解出来ないよ」

「何を言って…」

「鬼だから何だい?」

「だって鬼は」

「知っているよ。今は昔その強靭な力と膨大な魔力、そしてその再生能力と周りの魔力を吸い込む力で今ある地図のほぼ全域を支配した一族だ。そして憎悪の対象でもある」

「なら…」

「君は何かしたのかい?」

「え?」

「そこの村に何かしたのかい?」

「…いいえ」

「ならば私は何もしない。する気もない。いや、これはしておきたいな」

「?」

男は最後独り言のようにつぶやき座っている僕の目線に合わせるように膝を折り手を出す。

「私の屋敷においで、歓迎するよ。私はもちろんきっとほかのみんなも君を歓迎する」

「僕を?…」

「そう、君を。何なら私の家族として迎え入れるよ戸籍も共にね」

「…申し訳ないですが僕は家族にはなれません」

「おやそれは残念」

「ただ、一つだけ我が儘を言っても言いでしょうか?」

「ああ、もちろんだとも」

「僕を…使用人として雇ってください」

「そんな事?いいのかい?そんな事で」

「むしろこれが良いです。今からあなた様は僕の恩人です。僕に優しい言葉をかけて頂いたこと、僕を屋敷に招き入れてくれること。ならばその恩人には僕は尽くします」

「ふむ、そうかい。ならばそれでも歓迎しよう、ただそれではさっきの君の断りには応じれないかな」

「え?それは?」

「私は使用人だろうが何だろうが、屋敷に住んでいるみんなは家族だと思っているからね。これで晴れて君も家族の一員という訳だ」

「家族…」

「そう家族。そうだ私としたことがまだ名乗ってもいなかったね。私はアンデルセン家当主、カルロス・T・アンデルセンだ。君の名は?」

「僕は……」

「ルイスです。家名はありません。ただのルイスです」
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